「ジャンゴ」

監督:クエンティン・タランティーノ

黒人奴隷として売られた主人公、ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が、賞金稼ぎの元歯科医シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)と出会い、彼とタッグを組んでジャンゴの妻を救いに行くことになるお話。
タランティーノ新作ということでとても楽しみにしていたものの、西部劇映画はまるで見たことがないけどいいのかな…とうっすら腰が引けた気持ちもありつつ見に行きました。でもいざ見てみたら、これがねー、たいへん面白かったです! 笑ったりびっくりしたり、何度かついガッツポーズしたいシーンもあった。

世の中の価値観を鑑みた判断をまるで感じさせないところというか、自分と自分の好きなものに嬉々として誠実であるところは、やっぱりタランティーノ作品最大の魅力だと思う。後者については例えば、「特撮博物館」で見たベテラン特撮技師たちのメイキング*1沙村広明さんの漫画にも通じるところがあるのではないでしょうか。映画を見ることで、監督が面白いと信じてるものの一端を見せてもらってるような気分になるし、だからこそそこに描かれているキャラクターを監督は裏切らないと信じることができる。
などということをしみじみ考えたりもしました。あと銃撃戦のあれが忘れられない。

「ジャンゴ」で特によかったのは、やっぱり「イングロリアス・バスターズ」でも最高だったクリストフ・ヴァルツさんです。彼のジャンゴに対する態度には湿ったところはまるでなく、それでいて確かな絆を感じるというのが熱かった。
そしてディカプリオ演じるカルヴィン・キャンディも良かった。タランティーノ映画名物の長い会話シーンって、実はある作品では寝落ちしてしまったこともあるんですけど、今回のそれはディカプリオさんがいいテンポを作ってたと思うし、展開にガッツリ噛み合ってるので長いとあまり感じなかった。
でも1番印象に残るのはサミュエルLジャクソン演じるスティーブンかもしれません。彼がどのようにしてキャンディにつかえることになったのか、なぜ忠誠を誓っているのか、という番外編も見てみたくなりました。
主役のジャンゴについては最後のたてがみを掴んで走る乗馬シーンが最高に格好よかったと思います。