2013年の漫画!! まとめとベスト10

2013年まとめ

今年はすごかったです。
年末に面白かった漫画ベスト10を書き始めて9年(!)経ちますが、今年は個人的に人生ベスト級の作品が何冊もあった年になりました。嬉しい。それについては後述するとして、
個人的に特に印象深かったのは、まず志村貴子さんの長期連載作品「放浪息子」と「青い花」の完結です。どちらも、この2作品に登場するキャラクターたちの成長をしみじみ思い返したくなるようなラストでした。
それから「にこたま」や「坂道のアポロン」などの人気作も完結しましたね。すぐに新連載がはじまるところに勢いを感じます。楽しく読んでますありがとうございます。
それからたとえば2011年がえすとえむさんがブレイクした年、だとしたら、今年は、いがわうみこさんがブレイクした年、なんじゃないかなーと思います。「虹の娘」は特によかった。
新しく知った作家さんでは、庄司創さん、奥田亜紀子さん、町田洋さんが圧倒的に好みでした。それから「僕だけがいない街」の三部けいさんもすごかった。めちゃくちゃ面白いのでもっと売れて欲しい。
自主制作漫画レーベル、ジオラマブックス系の作家さんの活躍も楽しく、雑誌「ユースカ」は今後も楽しみです。
そして「BLACK LAGOON」と「ドリフターズ」の新刊がなかなかでない寂しさは「デストロ246」が埋めてくれている気がします。「ヨルムンガンド」のアニメも面白かった。アニメ面白かったといえばジョジョも最高だった。「ジョジョリオン」もコンスタントに新刊が出てるうえに「岸辺露伴は動かない」も出た贅沢な年でした。

そ!し!て!個人的な今年の大ニュースといえば、高野文子さんとさべあのまさんの「さぶん市」で、大好きな漫画家の高野文子さんに声をおかけすることができたことです。
残念ながら、品物は何ものこっておらず買えなかったのですが、ファンであることをお伝えすることができて本当に嬉しかった。もちろん「マトグロッソ」で連載されている「ドミトリーともきんす」もたいへん楽しみによんでいます。

そんなわけで、いよいよベスト10! 年末ばたばたしてしまってまだ個々に感想がかけてない作品も多いのですが、そんなこと言ってると来年になってしまうので(以下略)

2013年のベスト!

10位「CIPHER」愛蔵版/成田美名子

今年描かれた作品ではないので反則な気もしますが、10位に入れたい作品が10作品くらいあるので、それならばと今年1番読み返した「CIPHER」愛蔵版にしました。子どもの頃だいすきで何回も読んだ漫画を、時間をおいて読み返すのって、懐かしさ以上の親密さがあると思う。

愛蔵版 CIPHER 1 (花とゆめCOMICS)

愛蔵版 CIPHER 1 (花とゆめCOMICS)

9位「神様がうそをつく。」/尾崎かおり

「メテオ・メトセラ」が大好きだったので、尾崎かおりさんの新連載が「アフタヌーン」ではじまると聞いたときはとても嬉しかった。映画「誰も知らない」にも通じる、重い話ではあるのだけど、残酷にふれすぎず、しかしけして楽観はしないで誠実に描ききるところがやはり尾崎さんだなと感じた作品。

8位「宝石の国」1巻/市川春子id:ichinics:20130916:p2)

キャラクターが鉱物、ってそんなわかりづらい設定をすんなり読ませてしまうのってすごいことだと思うんですよね。市川春子さんのこれまでの作品の中でも一番読みやすいと思う。まだプロローグの1巻ではありますが今後の期待を込めて。

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

7位「青い花」8巻(完結)/志村貴子

放浪息子」の完結とあわせて、ですが、よくここまで描ききってくれたなという気持ちです。正直、ふみちゃんの恋心がいまいち理解できずに中盤気持ちが離れていたこともあったのですが、ここにもってくるのか、ってラストはだだ泣きでした。みんな幸せになってくれーという気持ちです。

青い花(8)(完) (Fx COMICS)

青い花(8)(完) (Fx COMICS)

そしてここから先全部今年1位候補

6位「ひきだしからテラリウム」/九井諒子id:ichinics:20130508:p1)

新刊出るたびに、隅から隅まで大好きだと思う作家さんです。ひとこまひとこまが愛おしい。

ひきだしにテラリウム

ひきだしにテラリウム

5位「ぷらせぼくらぶ」/奥田亜紀子

大橋裕之作品の、あのトーンを担当している人ときいて気になって買った作品ですが、どストライクすぎて寿命が縮まるかと思いました。1位にしたい気持ちがすごくありますが、でもちょっと今年が異例ということで。後日改めて感想書きたいと思います。

ぷらせぼくらぶ (IKKI COMIX)

ぷらせぼくらぶ (IKKI COMIX)

4位「三文未来の家庭訪問」/庄司創id:ichinics:20130409:p1)

3作品収録された中編集ながら、どれもすごく密度の濃いSF作品で、今後どのような作品を描くのかとても楽しみな漫画家さんです。連載作品「勇者ヴォグ・ランバ」も面白かった。まだまだアイディアがたくさんありそうな漫画家さんなので、もっと売れて、もっと描いてほしい。

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

三文未来の家庭訪問 (アフタヌーンKC)

3位「僕は問題ありません」/宮崎夏次系(id:ichinics:20131003)

あくまでも便宜上で1位だよ1位! 昨年「変身のニュース」を1位にしましたが、そこからまったくブレることなく最高をたたき出してくれた新刊でした。大好きです。そして最高に切ない。

僕は問題ありません (モーニング KC)

僕は問題ありません (モーニング KC)

2位「惑星9の休日」/町田洋

たむらしげるさんが帯を書いているのがすごくしっくりくる、どこか懐かしい夢のようなSF作品。私の好きなSFの原点がここにあるような気がします。新しい作品なのに原点っていうのも変だけど。

惑星9の休日

惑星9の休日

1位「どぶがわ」/池辺葵

1位にしたい作品は多々あれど、個人的なベストとして順位をつけるなら、1位にするのはこの作品だと決めてました。
物語というのは受け取り手によって形を変えるものだし、私がこの「どぶがわ」に見ているものは誰かと共有できるものではないのかもしれないけど、なんていうか、自分はずっとこれが読みたかったんだ、と思うような作品に出会うのはほんと稀なことで、そしてすごく幸せなことだと思う。
最初に思い浮かべたのは大島弓子さんの『8月に生まれる子供』にでてくる、「わたしはわたしの王女様である そしてその民である」という言葉。この言葉を覚えている人にはぜひおすすめしたいなと思いました。
「繕い裁つ人」も「サウダージ」も好きだけど、こんな作品を描く人だったんだ…!って改めて好きになるような1冊だった。

どぶがわ (A.L.C.DX)

どぶがわ (A.L.C.DX)

そんなわけで2013年は例年にもまして、漫画を読むのがとても楽しい1年でした。来年も楽しみです!