グランド・ブダペスト・ホテル

監督:ウェス・アンダーソン
とっても面白かったです。
ある作家の墓前でその著書を開く少女、そしてその作家が聞き取った物語、そして物語の中の世界、と3重の入れ子構造になった映画でその3つの世界(現在の部分はとても短いのだけど)の描き方の違いひとつみても、ウェス・アンダーソン監督の画面コントロール力はその配置だけではなくて編集手法にもあったんだなと改めて感じる作品でした。
「物語」は1930年代の架空のホテルの物語。これまでのウェス・アンダーソン作品の何倍も早く物語が展開していく様子に正直驚きました。画面の中でさまざまな出来事が起こり続けていて、でもその画面に映っているすべてのものがウェス・アンダーソン印ともいえる美術に彩られていてどこもかしこもじっくり見たくて追いつかないくらい。
かと思えば人物が静止している画面ではまるで生け花のような緊張感のある/次に動き出すときの所作まで計算された構図で、とにかく画面を見ているだけで楽しい。

描かれる物語自体は、けして楽天的なものではないのだけど、主役2人の依存するでもないフラットな信頼関係というのが物語を明るいものにしているとも感じました。
特によかったのはコンシェルジュ同士のホットラインがでてくるところかな…。ああいうのわくわくします。
あと、この映画はとても豪華キャストなのですが、その豪華キャストを今まで見たことないような役柄で起用していて、エンドロールを見て初めて「あの人だったのか!」と気づくようなキャラクターもいたのが面白かったです。
グランド・ブダペスト・ホテル」に行ってみたい。

タマフルのムービーウォッチメンで、宇多丸さんが話していた監督の言葉で「今回の話は筋がある!」っていうのも声出して笑ってしまった。