チョコレートドーナツ

監督:トラヴィス・ファイン

薬物中毒で収監されてしまった母親に置き去りにされたダウン症の少年が、ゲイのカップルとともに暮らし始め、信頼関係を築いていく…という実話をもとに描かれた作品。
1970年のお話ということもあって、歌手を目指す主人公のルディとその恋人になる弁護士のポールは、その関係を表向きには「いとこ」と説明したりしている(特にポールは)。同性愛者であることが上司に知られることで職を失うかもしれない、という不安を抱えて生活しなくてはいけない時代だったのかと思うと(そしてそのような不安を抱えている人がいまもいるんだと思うと)理不尽だと思うけれど、それ以上に、物語の中心にいるダウン症の少年「マルコ」不在で行われる裁判の理不尽さに見てて気がめいってしまった。
そして実話をもとにしているから仕方ないとは思うけれど、母親の描写が不十分だったかなと思います。
少しネタばれになってしまいますが、最終的な裁判の結果はルディとポールが同性愛者であることとは関係なくて、あの弁護士のやり方がマルコを無視した、自らのプライドを押し通した結果だったっていうことですよね。
だからほんとうにマルコが切なくてやるせなくて、
劇中の台詞にもあるように、私もハッピーエンドのお話が好きだよ、と思いました。