原付免許を取った日記

きっかけはたぶん3つあって、一つはイベントごとに参加する際、「顔写真付き身分証明書」の提示を求められ、もしなければこれとあれを……という少々めんどくさいやりとりが発生する機会が多いこと。もう一つはクロスバイクを買って以降、ママチャリのときにはなかった「この場合どう動くのが正解なんだ?」と車道上で戸惑うことが増えたこと。
そして、ネットバンク(だったかな?)に登録しようかなと考えていたときに、免許証orマイナンバーカードが必要で登録できなかったことがあり、免許証がないだけで私は口座すら作れないのかー! と悔しい気持ちになったのが最終的な後押しになって、1日でとれることで有名な原付免許を取ろうと決めたのでした。
それが昨年末のことで、年始に住民票も取りにゆき、テキストで勉強もして、これでいつでもとりにいけるぞ! と意気込んでいたはずなのに、髑髏城で有給休暇を使い果たして4月の有給復活まで待つことになり、年度はじめで少々忙しくしているうちに夏になってしまった。
正直先送りにしすぎだった。
けれど、ついに先週の盆休み期間、ついに実現することができました。


当日、試験は8時半から受付とあったので、早起きをして最寄りの免許センターに向かう。まるでこの30年くらい時間がとまっているかのような建物で、掲示物のほとんどが昭和、の部分に紙を貼って平成と書き直しているんじゃないかと思うようなものだった。
来ている人々も多種多様だった。半分は車で仕事をしているんだろうなという感じのおじさんで、右腕だけ濃く日焼けしていたりする人も多い。派手だけどどこか幼さを感じる男の子たちと、スマホを片手に退屈そうにしている女の子たち。職業不詳な中年男女もわりといてきっと私もその一部だった。

まずは学科試験だ。マークシートのテストなんて久しぶりで楽しかったし、予習したところがバッチリ出る(当たり前だけど)ので、回答をし終えた時点で大丈夫だなと思えたので気楽だった。
私が受けた回に原付免許をとりにきていたのは24人。最初に学科試験を受けた後、2/3ほどになった合格者はぞろぞろと歩いて写真撮影をされ(いきなり写真をとるのでびっくりした)免許が出来上がる間に実習を受ける…という流れになっていた。
つまり、学科では落ちても、実習で落ちることはないのだ。それってすごいことじゃないですか? いいんですか? 私全然乗れる気がしないですけど? と思いつつ実習へ向かう。
予想通り、まずは原付をスタンドから降ろすことができず、さらにスタンドを立てることもできず、軽い原付に交換してもらうの儀があった。そこで完全に目をつけられ「○番さん大丈夫?」とことあるごとに声をかけられることになったのだけれど、その手厚いサポートのおかげでどうにか実習もクリアし、晴れて私は免許(ただし原付)のある女にクラスチェンジをしたのでした。

原付免許をとるけど原付に乗るつもりはない、と言うと、大抵「なんで?」と聞かれるし、顔写真付身分証明書が欲しいならマイナンバーカードでいいじゃんとは何度も言われた。
けれど、原付をとるぞ、と決めて以降、一番よかったのはやはり交通標識や道路に描かれた線やその色の意味を知ることができたことだと思う。
現状、自転車に乗る前に交通ルールを学ぶ機会というのはあまりない。けれど自転車は基本車道を走るものであるとなると、車やバイクがどう動くか予測できない状態で乗るのは非常に怖い。
ーーというわけで、原付の免許をとるという目標が交通ルールを学ぶ機会になったという意味では無駄じゃなかったかな、と思っている。