「ル・ポールのドラァグ・レース」S1からS5の感想

ドラァグレース」にはまっている…という話は前回一通り書いたので、今回は、シーズンごとの感想&私の推しクィーンとオススメポイントを書いてみたいと思います。まずはシーズン1から5まで。

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優勝者についてのネタバレは避けますが、それ以外の内容には触れるのでネタばれにご注意ください…!

最初の“america's next drag superstar”が誕生した「Season1」

番組の現在の様子と比較すると若干予算が少ない感はありますが(賞金の金額も全然違う)、基本的なチャレンジの構成や、出場クィーンに多様性を持たせる(アジア系、プエルトリコ系、プラスサイズクィーンは必ず入れるなど)などの理念はすでにこの頃から出来上がっていたと思います。
そして、やはり最初のシーズンということもあって、「america's next drag superstar」を選ぶことにかなり慎重になっていると感じるシーズンでした。
私の推しはニナ・フラワーズ! スキンヘッドでパンクスタイルの似合うプエルトリコのクィーンなんですが「もうちょっと他のスタイルもみたい」的なこと審査員に言われてすぐにランウェイに反映する柔軟性もある。E6テーマにあわせて3つのスタイルを作るボール回でのミス・マンゴーが好きでした。
それから忘れられないのはオンジャイナ。E4の「Mac Viva-Glam」(コスメブランドMACエイズ基金)の広告を制作するチャレンジで、人生をセレブレートしようと謳った彼女は、今週のトップであると告げられて泣き出してしまいます。良い結果なのになぜ泣くの?と問われ、彼女は「HIVポジティブである私にとってこの優勝はかけがえのないものだから」と答えたのでした。
それまで作業部屋で一番明るく振舞ってきた彼女だからこそ、その告白と彼女の作った広告には説得力があって、見ているこちら側まで勇気付けられるような回でした。

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いかつめのメイクが多いニナですがS1ではガラリと雰囲気の変わるランウェイもあります!素顔も可愛い


クィーンたちのバトルが繰り広げられる「Season2」

9人だったシーズン1から3人増えた12人でスタート。このシーズンから人数の多い前半はグループに分かれて戦う課題が増えてきます。ドラァグを始めてまだ5か月(!)という新人クィーン(シャンジェラ)から、現在はル・ポールのメイク担当をしている実力派(レイヴン)まで、現在のドラァグレースに関係するクィーンがたくさん出てくるシーズンでもありました。
ただ、S2は全体的に喧嘩が多いので、シーズン2から見始めるというのはもしかするとちょっとハードルが高いかもしれません笑
推しはレイヴンですがこのシーズンのレイヴンはちょっと怖かったので、レイヴンのこと好きになったのはAS1を見てからです。タチアナも好きだけど好きになったのAS2から…。ASだけでなく、SNSなどで活動を追い始めてみて思うのは、当たり前ですが、1シーズンを見ただけではそのクィーンのことわからないものだな~!ということでした。
好きだったのはE5の結婚式チャレンジ(男装の自分とウェディングドレス姿の自分の写真を撮る)。あの回のタイラはほんとうにきれいでしたね…。


衣装作りチャレンジ最多の「Season3」

衣装作りのチャレンジがとても多い、おそらくこれまでのシーズンで最も過酷だったシーズン。終盤戦は皆があきらかに疲労困憊で心配になりました。
ただ、ランウェイの完成度はとても高く、個性の強いクィーンたちが自分のスタイルを貫いていく様子はとても見ごたえがありました(私は衣装作りの課題が一番好きです)。
そしてこのシーズンには好きなクィーンがたくさんいます…!

まずはラジャ。もともとモデル出身でファッションセンスがよく基本は穏やかな人だと思う。ラジャに関してはほんと全部のランウェイが好きだったな…。それからE10に、自分でレコーディングした曲でライブをする…というチャレンジがあるのですが、レコーディングされた音源を聴きながらテンション上がって駆け回ってる(それまでだいたい落ち着いてた)ラジャは完全にギャップ萌えでした。ラジャの、「年齢とか性別にとらわれない新たな生き物になりたい」という言葉が好き。
そしてマニラ~!マニラは美とコメディセンスを併せ持ったタイプで特にAS4では圧倒的でした。
さらにシャンジェラ!S2からのカムバックです。私の最推しであるアリッサ(S5)のドラァグドーターでもある。

シーズン中盤あたりで、このラジャ&マニラにデルタ、カルメンを加えた仲良し組が「ヘザーズ」を結成します。細かなニュアンスは把握しきれなかったのですが、おそらく自分たちを「いけてる組」として”ヘザーズ”と呼び、そのほかのクィーンを「いけてない組」として”ブガーズ”と呼ぶ…みたいな感じです。
こう書くと本当感じが悪いのですが、ブガーズ扱いされてたグループの筆頭であるシャンジェラが強いので、個人的にはいじめというよりは喧嘩…というイメージで見ていました。(リユニオン見ると他にもいろいろあったのかなとは思うけども)
個人的には、ヘザーズという呼び名はさておき、4人は今も仲良しなので(マニラのMVにも4人ででていた)尊いなと思っています。
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MVで勢揃いしたヘザーズ


ハロウィン・ナイト「Season4」

諍いが多めなseason2や3と比較すると、S4はかなり平和なシーズン(一部衝撃的な場面もあるけど)だと思います。そしてその平和はラトリス・ロイヤルとチャド・マイケルスの年長者組のおかげだとも思う。
E10の「セクシーなお父さん(一般人)を妊婦姿に変身させる」というチャレンジで、保安官代理だというシャロンのパートナーがチャドに失礼な言葉をなげかけます。そこでチャドが「文句があるならケツを蹴れ、あんたもムショに入れてやる」と言い返すわけですが、番組内でチャドが声を荒げたのはここだけだったと思う(シャロンもシスターを悪く言わないで、とフォローする)。他者を尊重しつつ、言わなければならないことにはきちんと抵抗する。まじで尊敬できる…と思った場面でした。(しかも翌日「いいストレス発散になったよ」と笑って流す…大人…)
そんなわけでS4の推しはチャドです。シェールのモノマネが十八番なんだけど、ランウェイは常にチャド自身で、優雅。

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それから忘れてはいけないのがシャロン。ハロウィンを愛し、ホラー的な演出を好むクィーン。「整形した人に魅力を感じる」と話すシャロンのスタイルはこれまでのどのクィーンにも似ていなくて、そして今も、シャロンみたいな人は(すくなくともドラァグレースには)出てきてないところが、彼のスタイルが彼の個性であった証左だと感じました。


主張が強いクィーンが揃う「Season5」

個性の強いクィーンがたくさんいて誰が残るんだか全然読めない、楽しいシーズンでした。
例えば、出場者の一人に前シーズンに登場した人気者シャロンの恋人アラスカがいるんですが、当然シャロンと比較される…というプレッシャーを感じながらの出場なのでそこにもドラマがある。さらに、そのアラスカとデトックスロキシーでチームを「ロラスカトックス」を結成する場面は、S3の「ヘザーズ」を思い出してちょっと嫌な予感が漂ったりもする。
ナルコレプシーを患っているジンクスのコメディクィーンっぷりに感心しつつ、突然投下されるwerkroon(作業部屋)内の恋バナに皆がニヤニヤしたり、過去に出場したミスコン関連で因縁のあるアリッサとココのバトルが気になったり。本当にドラマだらけのシーズンです。
あと、それぞれ得意分野があり、決めるべきときにばっちり決めてくれるクィーンが多く、本気で優勝を狙ってる人ばかりなのが見ていて楽しかった!

推しはとにかくアリッサ・エドワーズ! とても美しくて自信過剰に見えるとこもあるんだけど(自分のランウェイに「Always & Forever, Alyssa Edwards」てナレーションつけたり笑)鏡見過ぎで突っ込まれてたり、背中の肉(backrolls)を指摘されてもなおスナック食べてたり…。いろいろ抜けていて憎めない。untuckedでは、両親の離婚以来疎遠になっていた父親からのビデオレターが届き涙を見せるという一面もありました。
あと、カメラは明らかにココとの対立を煽りたい感じに撮影してるんだけど(ココ越しのアリッサとかその逆とかで映す構図がよくある)、なんだかんだ隣にいること多いし、ココがうまくやったあととかハグしてるし、チームになったらちゃんと話してるし、私情で目標を見失わない感が好きです。
あと香水のCMを作るチャレンジで、香水の名前を「alyssa's secret」に決めたものの「秘密って何?」と問われてもちゃんと答えられず低評価になるんですが、その後そのキーワードが受けたのか「alyssa's secret」っていう番組*1をやってるのとかも面白い。とはいえ、私がアリッサに完全にはまったのはAS2やダンシングドラァグクィーンを見てからなのでそれについてはまたあらためて。

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ランウェイが好きなのはデトックスです。ロラスカトックスにこだわって最も損(?)をしたのはデトックスだと思うんですが、一番ロラスカトックスを大事にしてるのもデトックスなんですよね…。こればかりは仕方がないけどAS2では見たかったデトックスを見せてくれたと思います。
それからジンクスも好きだな〜。終盤かなり孤軍奮闘になるのですが、自分のスタイルを貫いて、周りの人を攻撃しないとこが愛おしいなと思いました。
S5で一番好きなリップシンクロキシーVSアリッサ。「Whip My Hair」という曲に合わせたロキシーのウィッグonウィッグは衝撃でしたし、そしてそんなロキシーに負けじと執念のリップシンクを見せるアリッサもかっこよかった。ラスト完全に崩壊したヒールを脱ぎ捨て裸足でロキシーをハグしてたのにぐっときました(推し目線なので…)。


……と、長くなってしまったのでS6以降についてはまた書きます!

untuckedとAll Starsを見るには

ところで、気になるクィーンがいたら、untucked(審査中のバックステージ番組)とAll Stars(過去シーズンに登場したクィーンが集結したドラァグレース)もみたくなりますよね。そんな時にはRPDRの全シーズンと関連番組が色々揃っているWOW Presents Plusがあります…!

WOW Presents Plus

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  • World of Wonder Productions
  • エンターテインメント
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現在NetflixではS1からS10とAll StarsのS4が視聴でき、S11については本国放送の1週間遅れで週1回1話ずつ公開されています。合わせてS11についてはこれまでのシーズンにもあった「untucked」が「素顔のクィーンたち」というタイトルで公開されています。(2019.4月現在)
しかし、Netflixで公開されていない、All Starsの1から3や過去シーズンのuntuckedについても、このWOW Presents Plusというアプリ経由で見ることができます。月450円で見放題。
アメリカの配信サービスなので日本語字幕はありません。なので英語が得意ではない私はしばらく二の足を踏んでいました。けれど、推しができてしまったら見れるものは全部見たい。
untuckedなどは特に会話の応酬なので聞き取るの難しいですが、英語の字幕も出せるので調べながらなんとか見ています(iPhoneアプリで登録してももちろん、webでも見ることができます)。これでちょっとは英語力も上がったらいいなーと思いながらひたすらクィーンたちのやりとりを聞き取りしている毎日です。
でもできればNetflixに全部字幕付きで公開されてほしい…!!(理解しれないのがもどかしいので)