眠る前


何度が寝返りをうった後、タオルケットをかぶりその隙間から携帯でアンテナをみる。アンテナを眺めていると、そこでちゃんと、毎日が更新されているのだなあ、という気分になる。ことがあって心強い。
ある日記で描かれていた父親の雰囲気が、少し、自分の父親に似ていると思う。私の父もすぐに機嫌が悪くなる人なので、私たち家族は常に、父親を怒らせないように気を使ってきたし理不尽なことで怒られても、反論したりはしなかった。そんなふうに、できるだけ衝突を避ける方向で一致するというのは、ある種のあきらめなんだろうけど、でも逆に父親にとって、それはどんな感じのすることなんだろう。あんまり考えたくないような気がするけど、今の、ずいぶんまるくなった父さんを見ていると、これからうまくやっていこうと思う方に気持ちが傾く。
そういうことを考え出すと、家族というのは、近いけれど、よくわからない存在なんだなあと思う。よくわからないまま、一緒にいるためにそれぞれが少しづつ自分の位置をずらしたりすることで、やってくものなのかもしれない。できれば、うまくやっていきたい。みんながそう思っているだろう、と信じられるのは幸せなことだ。できれば、うまくやっていきたい。いろんなことぜんぶと思いながら眠った。