秋の訪れ

突然秋が来た。
「9月はもう夏になってしまったな」なんて思っていたのに、突然空気が高原の朝みたいな爽やかさを伴うようになった。
お祭の後みたいに、そこここに名残は残っているものの、もう夏が戻ってくることはないだろうと感じる空気で、約3か月つけっぱなしでいたエアコンも久しぶりに切った。

先週の金曜日はまだ夏だった気がする。
その日は午後休をとっていて、今年最後の野球をみるべく神宮球場に向かったのだけど、前日からの天気予報の通り、試合開始前に雨が降りだし結局中止となったのだった。
長靴、ポンチョ、レインハットとフル装備で向かったこともあり、しばらく雨の中でビールを飲んだりもしたけれど、特に寒いとも思わなかった。

翌日の土曜の朝、窓を開けると昨夜の雨を引きずった曇天が涼しく、そのまま晴れてもまだ涼しさが残っていた。
今思えば、あれが季節の変わり目だったように思う。

球場の暑さも冷えたビールも、遠い昔みたいに今は涼しい。
……なんて下書きに書いていたのに、今日はまた33℃の夏日でした。

3か月後には年末だなんて今はまだ信じられないな。

「その日」の記録

今年、初めて応援するチームがある状態で野球を見た。
昨年もちらほらとは見ていたけれど、選手をしっかり認識して見たシーズンは今年が初めてだったので、私には今年と比べることのできる過去がない。

ただ、平日は帰宅してから/土日は予定のない日だけ、というペースではあるものの、開幕試合以降1イニングもみていない試合*1はたぶん15試合もないというくらいには夢中になって、見れなかった試合も、もちろん試合結果は追いかけてきたわけで、
だから好調/不調の波はあるものの、それをみんなでカバーしてきたのを知っているし、エラーをした選手が積み重ねてきたダブルプレーを見ている。今日打てない選手が打った夢みたいなホームランを覚えているし、ホームランを打たれた選手が抑えてきた9回をいくつも見てきた。



だからきっと大丈夫だと思いながら、定時を待って会社を飛び出しラジオを聴きながら電車に乗った。混雑しているのもお構いなしに、とにかく早く帰れる方を選んで急ぐ。
ラジオのプロ野球中継は密度が濃い。実況の細やかさはもちろん、背景の応援歌もきちんと聴こえてきて、耳だけ球場とつながっているみたいで、惜しい展開には思わず声が出そうになる。

4回に1アウト満塁のチャンスがあったものの決まらず、しかし先発の才木投手も踏ん張り0-0のまま帰宅。ラジオをつけっぱなしにしながらPCを立ち上げる。

そうして迎えた6回裏。
幾度も「勝利への道」を切り開いてきた1番近本選手が出塁、3番ルーキー森下選手のヒットで1アウト1・3塁のチャンスがやってきた。
次は4番の大山選手だ。
解説者が大山選手が最近不調であることに触れる。
でもファンはみんな、今シーズン他の選手が不調なとき、幾度も大山選手に助けられてきたことを覚えているだろう。
前日のインタビューでは監督も、大山選手について「関係ない時に打たん方がええ。大事な時にまた打つように、また調子上げていって」*2と言っていた。監督が大山選手を信じていることは、1年目のファンである私にとっても、とても嬉しいことだった。

今年の不動の4番打者に、ここで決めてほしいと祈るような気持ちで画面を見る。

そしてついに、大山選手の犠牲フライで先制点が入った。
続く5番、佐藤輝明選手。
佐藤選手も今年は好調不調の波が激しかった。解説者がそんな振り返りをはじめたところで、過去を振り払うかのような2ランホームランが飛び出して3-0。

7回表にソロで1点を返されるも7回裏にまた返す。
8回表で投手は岩貞選手に交代。再び1点返されるも石井選手で1アウト、島本選手の痺れる2者連続三振で抑える。

そして4-2で迎えた9回表。
岩崎選手がいつもの登場曲ではなく、今年亡くなられた同期、横田慎太郎さんの登場曲でマウンドへあがった。
7月25日に甲子園で行われた、横田さん追悼試合のことを思い出す。あの日も最後は岩崎選手だった。

1アウトをとったところで、巨人、坂本選手にソロホームランを打たれる。
瞬間、8月29日DeNA戦の2打席連続ホームランのことが頭をよぎる。好きな選手が打たれると悲しい。あれは私にとっては今年一番悲しかった試合だった。
けれど、もうすでにあの日のことは振り払った岩崎選手を見ている。誰かのためにというシチュエーションに強いことももう知っているので、
マウンドに集まった皆と目を合わせ、少し笑っているのをみて、きっと今日だと思った。

そして2アウト3塁、一打同点のタイミングでのセカンドフライは、今年フルイニング出場し続けている中野選手がしっかりとキャッチした。

8月13日に梅野選手が死球による骨折で離脱して以降、全ての試合でスタメン捕手を務めてきた坂本誠志郎選手が真っ先に岩崎さんに抱きつき、あっという間にマウンドは歓喜の渦に飲み込まれた。
駆け寄ってくる選手全員の顔を見逃したくなくて目をこらす。
横田さんのユニを手にした岩崎選手が宙に舞う。
梅野選手と坂本選手が抱き合っている。
そして人波の向こうで、大山選手が泣いていた。


インタビューで監督がついに「優勝」という言葉を口にして、これが「リーグ優勝」なのかと思う。18年ぶりの、このような得難い機会をファンになって初年度に味わっていいのかという思いもある一方、これに間に合えたことが本当に嬉しかった。

1人で乾杯しながら、配信でビールかけの映像を見る。普段とは違う、無礼講の様子が楽しい。
ビールかけ後には選手インタビューの配信もあるというので、ぎりぎりまで眠らずに布団の中で配信を見た。
「ファンに一言」と促された岩崎選手が「おめでとうございます」といっていて*3、ファンが選手に祝われることがあるなんて、嬉しくて本当に、ありがとうございますと思った。

週6で開催される試合を約半年追いかけてみると、シーズンのあらすじから月単位、週単位、選手単位、1試合単位、1イニング、1プレーといくらでも拡大できる巨大な画像が脳内にできあがっていくような気分になる。
長年のファンの人はきっとこれが年間とか監督とかの単位でも広がっていくのだろう。

もちろん、見たもの全てを覚えてるわけじゃないし、試合中に料理してたりビール買いに行ったりもしてるわけなんだけど、印象に残ってる場面っていうのはそういう自分の状況とも相まって記憶されているものだとも思うので、まだシーズンは終わっていませんがひとまず、阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝した「その日」のことを記録しておこうと思い日記を書きました。

今は優勝に関連した各社記事も全部読みたいし、見れるインタビュー映像は全部見たいし、胴上げやビールかけの画面隅々までチェックしたい!って焦るような気分で過ごしていますが、これも得難い体験なので、味わい尽くしたいなと思っています。

続く!



スポーツ新聞社のコンビニプリントなども盛りだくさんで嬉しい。

匿名ラジオの好きな回で打線を組みました

先日、友人と「匿名ラジオ」の好きな回を発表しようよの会をやってきました。
説明するまでもないかもしれませんが、「匿名ラジオ」はオモコロでARuFaさんとダ・ヴィンチ・恐山さんの2人がやっているラジオです。

会当日、友人が「打線を組んできました」って言ったので(天才)その場で打線に組み替えたんですが、せっかくなのでその形で日記にも記録しておこうと思います。

おすすめポイントも書いてみたので、もしまだ聞いたことないという方の参考になったら嬉しいです(なお、匿名ラジオは基本読み切り作品のような形なんで順不同で楽しめます)。

匿名ラジオ打線

  • 1番

【366】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「夏休みに公開される『少年たちが冒険する系のアニメ映画』に出たい!」 | オモコロ

私の今回の打線の中ではもっとも新しい、匿名ラジオ得意の「アニメあるある」が弾みまくる楽しい回です。
この回が特にいいのは「ガリガリ君」の伏線と、自分たちを登場させるために「秘密基地に元々住んでた人」を考えるところ。
話が盛り上がりすぎて「さっさと涼しい喫茶店行きたいわ(そして感想話したい)」ってなるのもわかりすぎて笑います。

  • 2番

【278】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「サイコパス診断って苦手だから逆に可愛く答えてやり返そう!」 | オモコロ

話題になっているサイコパス診断の話も面白いんですが、個人的に「お茶犬のハンカチ」がツボすぎて忘れられない回。送りバント成功。

  • 3番

【039】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「もし自分が主人公になったら、きちんと物語を回せるのか?」 | オモコロ

私が匿名ラジオを第1回から聞いていっていた時、最初に明確なレベルアップ音を感じた回がこれでした。
1番にあげた「アニメあるある話」としてももちろん秀逸なんだけど、この回はそれにARuFaさんの編集力と、恐山さんの的確なワードを繰り出すアシスト力があわさった名作になっている。私の好きなタイムリープものだし。

  • 4番

【135】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「子ども100人と一緒にキッザニアに閉じ込められたらどうする!?」 | オモコロ

私の「匿名ラジオ」4番打者はこの回です。
タイトルそのままに「どうする?」を考えていく回なんだけど、匿名ラジオ伝家の宝刀「ない話」がどんどんドライブしていってカタルシスを感じるところまで連れていってくれる感じ。
帰りの会のはじまりだ!」で思わず拍手しそうになってしまう。

  • 5番

【201】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「暇だからお互いの『死ぬより嫌なこと BEST3』を発表し合おう!」 | オモコロ

「匿名ラジオ」を聞いてると、めちゃくちゃ気が合う2人の「似てなさ」が面白いなと思うことが結構あるのですがこの回はそれです。
それと私は、子どもの頃から「死後の世界」があるのが怖いと思っているのですが(死んでも終わらないのが怖い)それと少し近いようなことを恐山さんが言っていたのが面白くて印象に残っている回。

  • 6番

【185】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「30秒で色々な物を紹介してマシンガントークを習得しよう!」 | オモコロ

マシンガントークの結果、つんのめったりラップになったりする様子が面白かった回。これは普通にゲームとしても盛り上がりそうなのでやってみたいな。(こういう企画力もさすがだなと思います)

  • 7番

【179】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「もしもマリオのスターを取って無敵になっちゃったら僕等は何をするべきなの?」 | オモコロ

「ない話」の解像度が高すぎて面白いし、スターが免疫系を破壊するのではという発想もすごい。
「どうせ死ぬならスターでぽっくり」bioに書きたい名言です。

  • 8番

【270】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「正直が一番!建前を禁止して素直なことをだけ言い合おう!」 | オモコロ

「匿名ラジオ」ではちょっとめずらしいフリートークっぽい、MC2人の解像度が高まる回。
もし2000億あったらと聞かれて、仕事のやる気がなくなるだろうな、と答える恐山さんと、ずーっと今みたいに何か作りながら暮らしたいなあというARuFaさん、2人らしい「正直」がよい回。
あと「子どもが生まれるのがめでたいことなのかわからない」という恐山さん、さすが「ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語」の著者だなという感じだった。

  • 先発投手(9番)

【181】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「年末だし『どのお菓子が一番強いのか』を決めよう!!」 | オモコロ

先日オモコロチャンネルの方でも開催された名作ゲスト(w原宿さん永田さん)回。
要するにお菓子のネーミングとか佇まいをキャラ化する回なんだけど、原宿さんの中2心がいかんなく発揮されていてすごい。あとジャイアントカプリコの登場回が好きです。
ゲスト回なので特別枠にしたくて先発投手としました。

  • リリーフ

【112】ARuFa・恐山の匿名ラジオ「クレーム社会の今、あえて昔話にメチャクチャな難癖をつけてみよう!」 | オモコロ

これも初期の名作回!昔話に難癖をつけていく回なんだけど、特に終盤の鶴の恩返しがすごい。ラストカット、一度成功体験を味わってしまったおじいさんの家を空撮した様子が映像で浮かんできます。アリ・アスター監督で映画化してほしい。

  • クローザー

【200】「祝200回記念!お互いの苦手を克服しながら一緒に料理を作ろう!」
www.youtube.com

9回を抑えるクローザーには匿名ラジオ200回記念の動画回を選びました!
料理をしない恐山(のちに角煮のプロになりますが)に、説明が苦手なARuFaさんが遠隔で指示を出してハンバーグとかき揚げをつくるの回。
この回はARuFaさんが学校の先生を目指していたというのが良く伝わってくる、めちゃくちゃな「褒め力」を堪能できてとても元気がでます。2人の仲良しさも良く伝わってくる名作回。


というわけで私の「匿名ラジオ」打線はこんな感じでした。
もちろんこれ以外にも好きな回たくさんあるし今後も毎週木曜の更新を楽しみに聞いていきます!
打線組んだ人はぜひ教えてくださいね。

プロ野球にはまった

今年は野球ばかり見ているせいで、日記もつい野球のことばかりになってしまっている。映画も本も舞台もぜんぶ後回しにして新しいものを最優先にするなんて、ずいぶん久しぶりのことだ。

野球にはまる前の、自分のプロ野球に対するイメージといえば、芸能人と結婚したとか、メジャーリーグに挑戦するとか、そのくらいの、実態を伴わない漠然としたものだった。
誰もスポーツをやらない/見ない家で育ったため、漫画などに時事ネタとしてでてくるものとしてしかプロ野球を認識していなかったからだ。

今応援している阪神タイガースについても、かつて道頓堀にカーネルサンダース像が投げ込まれたらしい、というような話しか知らなかったし、
そのチームをいずれ応援する未来がくるなんて1ミリも想像していなかった。「六甲おろし」もタイトルは知っていたけれど、曲は去年初めて聞いたくらいだ。

そんな自分がなんでプロ野球にはまったのか、どんなところに魅力を感じているのかという話を、機会をいただいて「りっすん」さんで書かせていただきました。興味を持った瞬間に、新しい、攻略しがいのあるダンジョンが開けるっていう、この感覚の嬉しさついて、伝わったらいいなと思っています。


www.e-aidem.com


なんで阪神なのかという話も最後にちらっと書いていますが、詳しい理由はシーズン終わった頃にちゃんと書いておきたいと思う。

今シーズン、持ってる残りのチケットは1枚です。


野球関連日記で振り返ると、今年はほんと「初めての」だらけです。

「嫌われた監督」の感想
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2022/12/26/223042

WBCの感想
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/03/26/220903

シーズン開幕の頃の日記
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/04/14/221326

初めての阪神戦観戦
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/05/08/225743

カメラを買った話
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/06/12/210332

初めての東京ドーム観戦
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/07/03/210045

初めての甲子園観戦
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/08/02/203553

初めての「現地勝利」
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/08/08/212133

登場曲の話と初めて岩崎選手の登板を球場で見た日の話
https://ichinics.hatenadiary.com/entry/2023/08/29/221639

夏休みのケーキと母の料理

夏休みの半ば、7月生まれの私と8月生まれの弟の誕生日祝いという名目で実家に顔を出した。

弟妹と最寄駅で待ち合わせ、駅前のケーキ屋に寄る。
まず自分達の食べたいものをひとつずつ選び、父と母用にもひとつずつ選ぶ。
父は昔からショートケーキかチーズケーキとわかりやすいのだけど、母の場合は気分次第だ。今日は何気分だろうねということを相談しながら選ぶ。

まだまだ感染症の流行下にある中、高齢者と妊婦がいる場所に集まって大丈夫なのか少し心配だったけれど、親は7回目(もうそんなになるのか)のワクチンを受けてきたばかりとのことで少し安心した。

親の年齢のこともあるけれど、自分も病気をしてからはいつまでも元気なわけじゃない(幸いなことに今現在は元気だけれど)と思うようになり、家族が集まれる機会にはなるべく顔を出そうと思うようになった。
できれば自分たちが子どもの頃にしてもらったような「親戚の集まり」を、甥っ子たちにも経験してほしい気持ちもある。そんなことを弟や妹と話したりもする。


食事の後、購入してきたケーキを開ける段になって、まず母にどれが誰用のかをあててもらう流れになった。
ショートケーキは父、モンブランは弟、は我が家では鉄板だ。
残りはいちごのタルト、ブルーベリーのタルトとヨーグルトムース。
結果的に妹がいちごのタルトまでは正解して、残りの2つが逆になった。私がヨーグルトムースだったのだけど、母は、低カロリーっぽいものということでそれが自分用だと思ったらしい。
私的に、タルトは冬のお菓子、というイメージなのだけどそれはまったく共感されなかった。

食後には母と弟妹、私で少しゲームをする。
ゲーム名は不明だが、お題を出して、それに当てはまるものを各自5つ書き、ほかの人と被ったら高得点、というゲーム。
その中で、母の出したお題が「自分の(母の)料理といえば」というものだった。
これがもう、面白いくらい被らなかったんだけど、それでも「あったね〜」の連続で楽しく、母も嬉しそうだった。

出たのは、カステラ、ムサカ、豚茶漬け、オムレツ、ミートソース、お好み焼き、コロッケ、いなり寿司などなど。

個人的な発見としては、1人暮らしを始めて「自分でよく作るようになったもの」を入れ忘れており、それはもう自分の料理になってるんだなと思ったりした。
一方、私は現在オーブンを持っていないため、母の料理として思い出すものの多くはオーブン料理だった。そういえば、子どもの頃はよく、食器棚とオーブンの間に挟まって何かが焼けるのを待っていたものだ。

今は実家にもオーブンはないのだけれど、たまに妹の家に行って一緒にケーキを焼いたりしている。
その、何かが焼けるのを待っている時間に「家」の感触がある。