働くことの対価

コンスタントに日記を書くつもりでいたのに、あっという間に時間が経ってしまった。

相変わらず、週末1日は実家に行き、昼食と夕食を作る生活が続いている。
最近では、妹と甥っ子も同じ日に来るのが定番になり、昼ご飯は父と妹と甥っ子、あと家にいれば弟も一緒に食べるという感じになっている。

会うたびに語彙が増えていく甥っ子と頻繁に会えるのは嬉しいし、
1人暮らしだとどうしても、一旦作るとしばらくはそれを食べ続ける生活になるので、一気に作って一気になくなる料理をするのも(手間ではあるが)わりと楽しい。

実家の台所に立っていると思い出すのが、かつて「独り立ちするまでに100くらいはレシピを覚えないとね」と母に言われたことだ。高校生くらいの頃だったと思う。
「女なんだから」とかいうギョッとするような枕詞はなかったと思うけど、弟たちにはそんなことを言っていなかったので、要するにそういう意味ではあった。

あの頃の母は今の私より年下なのだけど、この料理の話だけでなく色々と、その時代の人特有の「近代的性別役割分業観」を内面化していたところが、あったんだなあ、と気づく。

思えば、母は私の仕事の話とかも聞きたがらない人で、そのことを少し不満に思ったりしたこともあったのだけど、
改めて、父親の「家事」に対する解像度の低さ(思えば掃除も洗濯もしているところを見たことがない)を目の当たりにしていると、母は、外で働いてきちんと対価を得るということを、本当はしたかった人なのじゃないかということを思う。

前にも書いたかもしれないが、母の遺産については、介護などで諸々お金がかかるため100%父が相続するということになり、現在粛々と作業を進めている。
ただ、いわゆる「専業主婦」として働いていた母の「財産」が、まるでなかったかのように父に吸収されることに、それでいいのだろうかという思いもあって、先日その話を妹にしたら、妹も考えていたことであったようで、少しホッとした。そして父はもちろん、これを理解しないだろうとも思う。

そういう諸々もあり、現在わたしたち兄弟が実家のために働いていることにも、ある程度の線引きは必要だと考えている。
父にとっての「誰かが(それは今まで母だった)いつの間にかやってくれている生活」は終了したのだ。

幸い父もできることは少なくないし、ある程度は外部委託をできるように準備を進めていきたい。
ただ、そういう諸々の手続きもタスクではあるので、なかなか進んではいないのだけど、年末年始でもう少し、なんとかしたいなと思っているところ。

今週末はいつメンと今年の映画ベスト発表会だし、その翌週はいつも本をおすすめしてくれる友人と今年読んでよかった本ベストの会をやる予定、なので、その2つについては今年中にここにも書きたいなと思います。
あと今年の目標どうなったも書きたいし、こないだ行ったアンテナショップ巡りの話も書きたい。まあ、おいおいやっていきます!

ショートステイ完了、おでん、休日

10月24日

友人との食事で西荻へ。

駅前で見守りカメラを起動し、父がショートステイから帰宅する様子を確認した。先ほど連絡があった通り、妹が出迎えてくれている。甥っ子もいる。そして私は画面を拡大し、父親の表情を確認する。
何を話しているのかは聞こえないが、表情からして機嫌が悪くはなさそう……というところで妹からLINEがきた。
文句はあるようだが上機嫌ではあるとのこと。

その知らせにホッとして、食事へと向かった。
久しぶりのお店でゆっくり話をしながら、丁寧な料理を食べることができ気持ちが潤った。


10月25日

実家到着後、すぐに「ショートステイどうだった」とは聞かず、なんとなく様子を伺うが、やはり妹の見立て通り、多少の文句はありつつも(これは守衛さんが無愛想とかどうでもいいこと)、風呂がよかった、料理がおいしかった、などなど良いイメージもあったようでホッとする。
「泊まりが必要なときは今回のところでいいよね?」と言ったら、即答はしなかったものの、拒絶ではない感じなのでひとまずよしとして、ケアマネさんにもお礼のメールを入れた。

昼ごはんは麻婆豆腐。辛いものが苦手な父と甥っ子も食べるので、豆板醤は使わず味噌で作る。
麻婆と並行して大根を茹で始め、夜はおでん。
ここ数日、Bluesky でもおでんの話題がよく流れてきて、季節の移ろいを感じる。
今日のセットリストは、大根、ちくわ、魚河岸揚げ、揚げボール、卵に、母がおでんに必ず入れていたひき肉としらたきの巾着。

実家で食事を作る際、こちらから「何が食べたい?」と聞いたりはしないことにしているのだけど(理由は多々ある)、それでもまあ、できれば母がよくやっていたものを作ろうという意識は働くし、意外とたくさん覚えているものだなと思う。
おでんのだしがヒガシマルのうどんスープなのは私の生活から生まれた習慣だけど。

帰宅後、持ち帰ったおでんを食べながら日本シリーズ初戦を見る。
夜、弟から帰宅の連絡があり、無事リフレッシュできたようでなによりだ。


10月26日

起床後、家事を済ませ映画「ホウセンカ」を見た後IKEAへ。
野球のグッズ収納に有孔ボードを使っていたのだけど、スペースが足りなくなってしまったのでIKEAのものに交換すべく買いに行った。
ついでにジップロックとか収納用品とか細々したものも購入。
帰宅して早速整理をしたがなかなかうまく片付いたので嬉しい。

昨日、実家の料理であまったニラがあったので、長谷川あかりさんのにら、ひき肉、たくあんのカレー*1を作る。かなり美味しかったし、たくあんが余ったので、この翌日も(今度は余っていた豚ひき肉で)作った。
日々の献立は、こうやって少しずつ余ったものを何かに変えて行く作業の繰り返しだなと思う。

夜「ケアの物語」を読み終わる。『フランケンシュタイン』作者であるメアリー・シェリーのことはこれまでほとんど知らなかったので興味が湧いた。ちょうどギレルモ・デル・トロの「フランケンシュタイン」が公開されたところなので近いうちに見たい。

説得、その後

先日の説得*1後、早速ケアマネさんにショートステイ利用の希望を伝え、初めての利用に伴う契約については私が午前休をとって、実家に行って行う、ということになった。
妹には、私が「わざわざ有休を取って」契約に来るということを父に伝えてもらった。

しかしその契約日前夜、妹から「お父さん、かなり嫌がってるかも」というLINEがきた。
「ケアマネさんがきたら(行かなくて良いように)直談判しようと思っている」
と言っていたとのこと。
利用したいといっているのはこちらなのだから、ケアマネさんに何を直談判するのかという話なのだけど、その知らせにきょうだいLINEは鬱々とした雰囲気になった。
弟は「父が期待に応えてくれなくても、傷つかないような心構えが大事」なんて言っている。

こういうときは「仕事」だと思って対処するしかない。
早速ケアマネさんに連絡をして、父が渋っていることを伝え、契約日にはそのショートステイ先は母が見つけてきたところで、母が(父にあっていると)おすすめしていたところ(これはケアマネさんも知っている事実)だというところを強調したいので話を合わせてほしいとお願いをしておいた。

ちなみにこの日の夜、CS2戦目のタイガースが、雨による中断を挟んだ末に、サヨナラHRによる劇的勝利をした。
めちゃくちゃ気が重かったけれど、こんな試合を見たら頑張らずにはいられないなと気合を入れ直す。

そして当日、妹情報は聞いてないテイで「今日はご協力ありがとうございます!」というテンションで実家入りした。協力してくれて本当に助かる、みんなが疲れちゃったらこの生活は続けていけないもんねえ、今日はしっかりお昼ご飯も作ってきましたよ〜という塩梅だ。

そしてケアマネさん登場。打ち合わせ通り、母のおすすめである旨を強調してくれた。
さらにショートステイ先のスタッフさんが契約に登場。若い柔和な雰囲気の女性で、父の雰囲気も一気に丸くなる。さらに渡されたパンフレットへの食いつきも良い。
実際、検討している施設は個室で、室内にお手洗いもあり、提供される食事もかなりおいしそうな施設なのだ(その分まあまあ値段が張る)。
これはもしかしてちょっとよいところなのかも? という雰囲気になった父は、「入浴はどうしますか?」というスタッフさんの質問に「是非お願いしたいですね」と答えていた。

お風呂お好きなんですねえ、うちのは肩までつかれますんでねなんて話をして、和やかに契約も終了。

昼ごはん(三食丼)を準備して、仕事へとむかう私の足取りは軽かった。
さらに、夕方顔出しをしてくれた妹によると父はかなりご機嫌だったのこと。

そして、まだまだ騙されないぞと実家に向かった日曜日、到着すると父は何のアピールなのか、いそいそとショートステイ先のパンフレットを取り出して眺め始めはじめる。
これはもしかして、もしかするのか?
そんな気持ちで、弟、妹と顔を見合わせつつ、宿泊の荷物なども作って週末を終えた。

ただ、まだ油断は禁物です。
宿泊は今週の予定。
同居の弟の出張や、誰かが寝込んだ際などに、ショートステイを利用するという選択肢を得たいので、どうにか気に入ってくれますようにと皆で息を潜めつつ、その日を待っている。

10月11日/誕生日と説得

実家に行く日に合わせて、2歳になったばかりの甥っ子の誕生日祝いもしようということで、この日は大きなボストンバッグに甥っ子への誕生日プレゼントと、100均で買った三角コーナーと袋、父の冬用のパジャマを詰め、今日作る料理用の食材はリュックに背負い、さらに駅前のケーキ屋さんでデコレーションケーキも買う…という大荷物で向かった。

昼食は親子丼。夕食は豚汁、ほうれん草ごまあえ、親子丼であまった三つ葉入り卵焼き、少しだけお刺身という献立。

先日、トラウマによって10数年もの間「自宅で食事」ができずにいたななまがり森下さんが、そのトラウマ克服をするために、料理が得意な水田さんに新居で料理をしてもらう、というyoutube配信*1を見た。

相方の初瀬さんも、先輩である水田さんも、森下さんのトラウマにしっかり寄り添い、急かすことなく、ちゃんと美味しい物を食べてもらおう! という前向きな配信で、これがとてもよかった。
そして、この配信をきっかけに、水田さんのお料理番組を見るようになり、親子丼と豚汁はそこで紹介されていた作り方を真似てやってみたのだけど、これがかなりうまく行った気がして嬉しかった。
父は基本「刺身」にしかコメントしないんだけど、うまくできれば自分が嬉しいので、料理がわりと好きでよかったなと思う。

食事の後、ケーキを食べる算段だったのだけど、甥っ子はそうそうに寝てしまったので、寝顔とケーキを一緒に写真にとり、大人だけでケーキを食べた。大きくなったらこの写真を見せようと思う。

この日のもう一つのタスクが、父親にショートステイ利用を試してもらうことの説得だった。

今現在は弟2と妹、私で回しているけれども、それぞれフルタイムの仕事があったり子どもがいたりするので、誰か1人がかけたらかなり厳しいスケジュールになっている。
これから冬で感染症が流行るような季節でもあるため、誰かが対応できなくなったときは一時的にショートステイに居てもらう、ということが必要になる可能性もある。
そういった緊急事態のときに慣れないことをするのは怖いので、早めにチャレンジして、使い勝手などを知っておくことが大事だと思い、今月末、同居の弟が外泊する用事があるのでそこに合わせて利用してみようと先月から相談をしていた。
そして先週、一度はOKしたものの、弟と2人になってやっぱり嫌だ(HPを見たけど雰囲気が気に入らない、など)と言い出したので、再度、みんな協力しているので、父にも協力してもらわないとこの生活はやってけませんよ、という話をした。
そして、渋々了承、この件については私が担当、キャンセルしたいなら弟ではなく私に連絡をということでいったん終わった。ケアマネさんにも連絡した。
ただ、父のこの現状維持指向は今に始まったことではなく、長年母が苦労してきたことなので、次週、果たしてどうなる!?です。
(泊まる予定は再来週)

説得が終わったところで私も妹もちょっとホッとして(甥っ子が眠っているうちに)片付けをすすめる。
母の衣類とかはなかなか整理しづらいのだけれど、ひとまず下着は捨てようということになり、袋詰めしていく。
今のところの目標は、母の部屋を整理して、弟1が帰国した際、実家に泊まってもらえる場所を作ることだ。

夕方、目を覚ました甥っ子に誕生日プレゼントを渡した。
プレゼントは音声つきの動物ずかん。甥っ子はすぐに遊び始めていてよかった。

そして帰宅後、妹から「動物ずかん、寝室にログインしました」というLINEがきて、安眠を祈った。

生活

実家を出てもう20年近く経つので、一人で暮らすことに慣れすぎていて、今現在の、自分の生活の一部が他者と共有されている感じに、まだ慣れないでいる。
嫌だとかではなく、ふとした折に、これは一体何を根拠にした集まりなんだろう? ということを考えてしまう。
相続関連の諸々で、戸籍などを見る機会が増え、ひとまとまりで管理されていることを目のあたりにすると、それもなんだか居心地が悪い。

この辺りを考えることなく「家族だから」みたいなことは言えないし、むしろ「当たり前」と思ってしまわないために、考えておくべきことのような気がしている。

もちろん、これは家族に対する感情とは全く別の問題だ。


困った時に助け合える関係があるのは良いことだなと思うけれど、誰かが助けてくれるのは当たり前のことではない。
ケアされる側には、必要なケアを受ける権利があるように、ケアする側も守られるべきだ。
そういう意味で母に負担がかかり過ぎていたことへの反省があるし、
今、同居の弟に負担がかかりすぎないよう父にも協力してほしい、という話なんだけど、これを父が理解してるのかどうか。
なんてことを、こちらの提案*1を却下されるたびに思う。
まあ、幸いプロジェクトメンバーが4人いるので、入れ替わり立ち替わりで説得することはできるのだけど。

毎週、実家で昼夜合わせて4〜5品作るようになって、なんだかんだ母に教わった料理がレパートリーにかなり含まれていることに、指摘されて気づく。
良いことといえば、自分が食べられなくなってしまった食材を使った料理ができる(夕食は作るだけで食べないので)のがちょっと楽しいことだろうか。
寂しいのは、今実家の台所が過去イチできれいなこと。こんな簡単に片付くんだなと思った。

母には、どこか台所に手を出して欲しくないというような雰囲気があった。でもその辺の空気を読まず、もっとおせっかいをすべきだったんだろうな。

*1:ショートステイ利用についてとか