あのこにもらった音楽/勝田文

愛蔵版がでていたので買いました。
やっぱり勝田さんのまんが好きだなーと思った。絵も好きだし、テンポも好きだ。
この「あのこにもらった音楽」は、2001年から2003年にかけて連載された短編シリーズで、旅館の息子でピアノ教師の蔵之介と、母親をなくしてから蔵之介の妹のように育った梅子のお話。
第1話のラストでふたりは結婚して、第2話ではもう子どももいるので、全体的にはおしどり夫婦のお話みたいになっているのだけど、終盤になって、娘が生まれたときのお話「日日間奏曲」とか、改めて二人が恋人同士だった頃をやりなおすような「深雪譚詩曲」があったりする構成になんだかすごくぐっときました。まあとにかく梅子がかわいいです。
それから、同時収録されている短編「ユキの冒険」もよかったなあ。エクスリブリス(絵入りの蔵書票のことのようです)をモチーフにしたお話なんだけど、主人公がプレイボーイだった恩師について「社交性を教えてもらった気がします」って話すくだりが好き。
勝田文さんの漫画もっと読みたいです。

 「ほんとのことしりたいだけなのに」

仕事帰り、ビール片手に夏は終ったかどうかって話をしていて、唐突に思い出したのは「ほんとのことしりたいだけなのに、なつやすみはもうおわり」ってドルフィン・ソングの最後の部分。懐かしい。あのCD、たぶんもう10年以上聴いてないけど、全部の曲今でも音で思い出せる。駅前の細長いCD屋で買ったのも覚えてる。従兄弟からもらったウォークマンは電池でしか動かなくて、いつも鞄のなか単3電池でいっぱいだった中学生の頃。
夏なんてもうとっくに終ったよ、だってもう涼しいじゃん、っていう友達の台詞に反対しつつ、でも確かに今年は、そんなに暑くなかったしねと答える。答えつつ、ジョッキが軽い日は具合がいいなあなどとも言う。そんなこんなで金曜の夜はいつもあっという間。

それにしてもあのドルフィンソングの「ほんとのことしりたいだけなのに」の、ほんとのことってなんだったんだろう。こういう漠然とした疑問って、まず「ほんとって何ですか」ってところからはじまってしまうので、なんだかクイズ出されてるような気分になるけれど、「ある」ものについてはどれもほんとだなんて言えないような気がしてしまうし、「ない」は知らないから言えない。
そんなふうに、言葉はいつも思ってることのほんのちょっとにも足りない。
でもせめて、8月いっぱいは夏ってことにしようよって結論して、週末はすべりこみでビアガーデンに行くつもり。

写真は関係ないけどこないだ動物園でみたゾウ。