季節

白くふくよかな梅の枝が、青い空に映える週末。いつのまにか、鼻先にふれるのは冷たさよりも甘いにおいになっていて、木曜日に作った桜餅を食べながら、数カ月前の紅葉を思い出す。赤や黄色や茶色の葉を詰め込んだビニール袋を開いたときの、あの、ぐるりと春が見えたような感じ。日向を選んで丸くなる猫を追いかけながら、夏にはいつも日陰に寝転んでいたチャオのこと思い出す。車の下、廊下、畳の部屋。お弁当もって、桜を見にいきたいなあとか思いながら、
思い出すことはたくさんあるけれど、遠くなるほどに記憶は細部の克明さと全体の漠然が混ざりあって、だからやっぱり、人生は過去ログの海を泳ぐようなもの、なんてぼんやり考えながら、波間に光るなんかきらきらしたものみたいな、季節ごとのにおいとか光の加減とかにふいにやってくるものも、きっと上書きされてく。

明日になって日記でも書くよ 今夜くらいはじっと落ち込んでたいな のんきなもんです はい あしたがあれば
「サマー記念日」

目が覚めた時、あんまり寒くないのがたのしい。歩きながらマフラー外すときのすずしい感じがうれしい。野菜がおいしい。ブロッコリーの緑色きれいだった。

そんな感じで、またあした。