近くて遠い

ちょうど1年ぶりくらいにCD屋時代の友人と会った。最近の出来事をあれこれ話しながら、韓国のりで包んだチーズとかチーズだらけで生地が見えないピザとかパッサパサのピラフとか、なんとも微妙なおつまみを食べつつ、ビールを飲んだ。
大学生の頃、仲のよい先輩たちが「長い付き合いすぎてもう話すことがない」「お互い予想のつくことしか言わないし」などと言い合っていたのを見て、私もいつかそういうことを言うのだろうか、と考えたのをたまに思い出すのだけど、
まだ、相変わらずだと思えるのは嬉しいなと思いながら手を振った。

その先輩のことを思い出したのが久しぶりだったので、帰り道に思いついて iPhone の検索窓に名前を入れた。結果に表示された、その珍しい名前で登録されている facebook を開く。
でもすぐに後悔した。そこには数年ぶりの先輩の顔写真があって、とても愉快な感じで、その表情を懐かしく思うと同時に、自分がこの先輩と会うことはもうないんだろうな、とも思ったからだ。会いたくないとかではなく、ただ、単純に接点がなくなってしまっただけなのだけど、例えばこういったページを見つけたことをきっかけに、メールをしてみようと思う気軽さはないことも確かだった。
でも、例えば道でばったり会ったなら、私は声をかけるんだろうか。

真っ暗な中を走る井の頭線は宙に浮いているみたいだ。最寄り駅に着く頃にはすっかり酔いもさめて、すれ違う人の顔がいつもよりよく見える気がした。
はやく、春になればいいなと思う。