船でロシアへ

船着き場にいる。レンガ造りのてこぼこした半円形の広場を囲むように道路があって、その向こうに錆びたゲート、奥に灰色の海が見える。車の往来は少なく、まだ早朝のようだ。
ここはたぶんロシアだ、と思う。携帯電話を出して、電話をする。その相手に、私は会いに来たのだ。電話が繋がって、英語で挨拶をする。「ついたよ」というようなことを英語で言うと、彼女は「英語は得意じゃないので日本語でお願いします」とカタコトの日本語で言う。「迎えにいくから、そこでまってて」と言われ、電話が切れる。
広場を見回す顔の動きにそって、白い息がもれる。私は広場の中央にある花壇に腰掛けて、携帯電話を握りしめる。カタコトの英語同士よりも、片言の日本語の方が、伝わっているか不安になるのは何故なんだろう。
遠くから赤い車がやってくるのが見える。不安なのは、相手の顔を知らないからだ、と思う。

この夢は「犬が星みた」の影響だと思う。なぜ今思い出したのかはわからないけど。