「群青学舎」2巻/入江亜希

入江亜希さんの短編シリーズ。シリーズというより短編集なのだけど、どこか連なっているような印象。たとえるなら、ある女の子の本棚みたいな。
とても良かったです。

群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)

群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)

「ニノンの恋」
魔法ででもきれいになって、すきなひとにじぶんをみてもらいたい、という気持ちのいじらしいお話。恋をすると女の子はきれいになります、なんて、ほんとならどんなにかいいだろって思うけど、そんなのあてにならないから、逃げ回って、小さくなってかくれる。そんなニノンが笑顔になるカットがとてもすき。すきなひとがきれいっておもってくれるなら、それだけでいいんだ。
「時鐘」
いのちを知る。というおはなし。あの雪の日の廊下のカットとかいいなぁ。
「北の十剣」
ある王女のクロニクルを描く全5話のシリーズ。素敵でした。ひとつひとつの話をつなぐ短い番外編が、すごく映像的な編集になっていると思った。第4話のマントのシークエンスもすてきだなぁ。あとラストシーンがすき。
「彼の音楽」
音楽が大好きで、でも失敗ばかりしてる男の子の話。これにも後日談がついてて(コーヒーのCMかっと思ったけど!)、ああーやさしいなとおもいました。やさしくされるとなくわ…。でも彼がちゃんとむくわれるのは、かれの真摯さゆえ、ってうのも誠実。
「続ピンク・チョコレート」
表紙のカットがすてきすぎる。お手伝いさんのやりとりも、ドアの前の酒盛りも。みやこさん!

1巻にもちょっとあったし、2巻では「北の十剣」以降の作品に付録されているサイドストーリーは、まるで読み終えた本の続きを考えるしぐさのようだなと思う。自分で考えたお話のつまった本棚から、時々物語を取り出して眺めるみたいな、この親密さが作品をつないでくような気がする。

 細野晴臣トリビュートアルバム

祝・UFO飛来60周年!の、豪華キャストによるトリビュート・アルバム。
とても具合が良いです。トリビュートアルバムって、大きく分けると「わりと原曲に忠実な」ものと「プレイヤーの個性を楽しむ」ものとにわかれると思うんですけど、この二枚組アルバムはそのどちらとも違う。
それぞれの曲にあたらしい空気を送り込みつつ、プレイヤーの個性とアルバムのイメージがちょうどいい具合にバランスをとっている。とてもたくさんのひとが参加しているアルバムながら、全員でひとつのアルバムを作っている手触り。どこからきいても良質の音楽がぎっしりつまったアルバムで、末永く愛聴できそうです。タムくんによるアートワークもすてき。

Disc1では、まず「風の谷のナウシカ」にやられた。虫の音、聞こえるなかにただよう嶺川さんの声がすてきだ。「Omukae De Gonsu」はトイボックスみたい。World Standard + 小池光子「三時の子守唄」も、小池さんの声がきもちいい。
Disc2では、ヤノカミ矢野顕子レイ・ハラカミ)による「恋は桃色」がよかった。大好きな「銀河鉄道の夜」(といぼっくす)の曲が入ってるのもうれしい。というかこれ細野さんの曲だったってしらなかったなぁ。「蝶々さん」(The Woodstock Vets)こういうのによわいです。ごきげん。
そのほか、全部の曲がお気に入りといってもいいくらい気に入ったアルバムでした。でも、なぜか「はらいそ」からの曲がひとつもないのね、ちょっと残念。