「花に染む」1巻/くらもちふさこ

花に染む 1 (クイーンズコミックス)

花に染む 1 (クイーンズコミックス)

駅から5分」の舞台となった花染町へと続く、番外編のような物語。
くらもちふさこさんは、時系列が複雑に絡んだお話をすっきりとうまく描くなあと思った。
駅から5分」を読みすすめていて、どことなくいくえみ綾さんの「潔く柔く」と雰囲気が似ている気がしたけれど、この「花に染む」でもそう感じた。お話の内容が似ているというわけではないのだけど、あのくらい長い話になるのではないか、時系列も、視点も、ここにとどまるんじゃなくて広がっていくんじゃないか、…というのはあくまでも個人的な期待なのだけど、そんな風に思いました。
まだ冒頭部分という印象の1巻なので、今後を楽しみにしたいと思います。
また「天然コケッコー」くらい時間の流れる作品が読めたら嬉しいんだけどな。

関連

「駅から5分」の感想
http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20071127/p1

 「引き潮」/いましろたかし

引き潮 (ビームコミックス)

引き潮 (ビームコミックス)

漫画を読んでいると、ある程度「こうなるかな」なんて予想しながらページをめくっていることがあるけれども、この「引き潮」という本は、どのお話を読んでもラストはまったく想像外のところへ放り出されるかんじだった。現実と地続きにあるような説明のつかなさがあって、つい事実は小説より奇なりという言葉を思い浮かべてみたくなる。
おちのない話を、ビール片手に聞いてるような感じ。でもけして退屈ではなく、つい前のめりでページをめくってしまうのは、やはり組み立てのうまさなんだろうなと思います。むしろ、読者の予想を予測しながら「そうならなかったこと」を語っているのではないかとすら思う、けど、どうなんだろう。
「ハーツ&マインズ」の頃のような切実さとは明らかに違っているのだけど、あの延長線上にこの「引き潮」があるのは確かで、でもそれを簡単に結びつけられない感じも、いましろたかしさんらしいなと思います。