ダブリンの鐘つきカビ人間@ル・テアトル銀座

作/出演:後藤ひろひと 演出:G2
出演:片桐仁ラーメンズ)/中越典子橋本さとし山内圭哉中山祐一朗/及川健/八十田勇一/田尻茂一/山中崇/トロイ/平田敦子土屋アンナ姜暢雄池田成志若松武史

見に行ってきました。
私はラーメンズ情報経由で今回の公演のことを知り、後藤ひろひとさんの舞台を見たのはプレイベント(id:ichinics:20050825:p2)で見たザリガニ魔人だけ、というまったくの初心者なのですが*1、とても楽しかったです。
奇妙な町の、不思議で哀しくて美しいお話。
(以下ネタばれになるので畳みます)
あるカップルが霧で迷い、一軒家に立ち寄るところから物語がはじまります。そこに住む男によると、かつてこの一帯は奇病の流行により閉鎖された町だったという。そして、その話を聞いているうちに、二人はその物語の中に入り込んでしまいます。
まず、この奇病の設定が面白くて、羽が生えてしまったり、髪が伸びたり、身体から電気を発したり、その症状は人それぞれ。
やがて物語は、「ほんとうのことを言えなくなってしまった少女」と「心の醜さを外見に、外見の美しさを内面に移し変えられてしまった男」の出会いと、「千人斬ることで願い事が叶えられる剣」を探す冒険との2本の軸を中心に展開していきます。
ファンなので多少の贔屓眼はあるかもしれないけれど、とにかくカビ人間役の片桐さんが良かった。こういうとことん純粋な役を演じるのに片桐さんはほんとうにはまる。ちょっとドーデスを思いだしてしまったけど、もう、あの花瓶のくだりのカビ人間に既に泣けてしまった。
また、ほんとうのことが言えない少女「おさえちゃん」はまずその設定が既に物語だなと思う。せつない。ただ、たぶん自分が反対の事を言ってしまうのはわかっているのに、つい言わずにいられない、という感じがあんまり伝わってこない気がしたのが残念だった。でもとても可憐なのに毒舌なおさえちゃんは良かったです。とにかく演じるほうはたいへんな役だろうなと思う。
鳥肌が立ったのは、放火事件でカビ人間へ濡衣か着せられるシーンの、町の住人たちの台詞の掛け合い。「火をつけたのはカビ人間」から「カビ人間は悪魔だ」に変化していってしまう台詞はほんとに恐ろしくて、迫力があった。
笑えるシーンもたくさんあって、後藤ひろひとさんの独壇場のようなクイズショウシーンとか教会の礼拝シーンとか、楽しい。あと戦士役の橋本さとしさんが印象に残る。
初演も見てみたくなりました。

*1:なのでカテゴリも迷いつつラーメンズ用のを使ってしまってるけど、どうしよ。こういうときちょっと悩む