13/ザメッティ


監督:ゲラ・バブルアニ
2005年ヴェネチア国際映画祭にて新人監督賞を受賞し、監督自らリメイクするハリウッド版が2008年には公開予定という話題作。
輪になったプレイヤーが銃をかまえ、中央にある電球が点灯するのを合図に引き金を引くという、「集団ロシアンルーレット」。予告編でも流れたこの場面が作品の中心におかれているのは予想どおりだったのだけど、きっとカイジみたいにあれこれ策を練るんだろうなっていう予想は外れた。
ただひたすらシンプルに、たんたんとゲームの進行が描かれる中で、不思議だったのは、死を目前にした人々が、極限状態におかれてもなお「ルールを守ろうとする」ことだった。手には弾丸の込められた銃があるというのに、合図があるまでじっと息をのんで待つ様子は、どこかおかしい。
でも、その不自然さがきっと自然なのだろう。極限状態におかれてもなお、自我を保つことのほうが、難しいのかもしれないと思う。意志で動くことができるのは、余裕があるからだ。そんなことを思いながら、人が無意味に死んでいくのを見ていた。