連続恋愛劇場/雁須磨子

連続恋愛劇場 (ダイヤモンドコミックス)

連続恋愛劇場 (ダイヤモンドコミックス)

読んだことないのまだあるってうれしい!ってくらいに大好きな雁須磨子さんの短編集です。全部で何冊出てるかとか調べないのは敢えてです。だってあと1冊、とかなっちゃったらさみしいもんなーってくらい、この人の漫画読むと毎回ゴロゴロ転がりたくなるような、グッとくる場面がある。この、いたってふつーの常温の中で、描かれる熱みたいなもの。ふいにぐっと手をのばしてくるような、どきどきする感じがたまりません。
この本に収録されている短編は、「誰にも言えない(マル秘)禁断の恋」とか、そういう企画雑誌(?)に掲載されてた短編たちなので、それぞれテーマがあるんだろうなって思うのだけど(掲載誌一覧あるけどどれがどれかわからない)、「連続恋愛劇場」ていうタイトルでしっくりまとまってる。
で、やっぱり印象にのこるのは、そのタイトル作品含む、美鈴まりと小仏元店長のお話だ。女子高校生まりが、元バイト先の店長である小仏さん(34歳)を訪ねてきて、告白して、でー? っていうお話。小仏さんの「どうせ」ってためらう感じも、まりの気持ちに忠実なとこも、どっちも、身に覚えがあるなぁと思いながら読んだ。タイトル作の、そういうところがいや、でも、そういうとこがすきって葛藤して腑に落ちる場面が、地団駄ふみたくなるくらい好きです。同じシリーズの「都合のいい女」も「振り幅」もいい。ふと、指先の動く瞬間のような衝動を、描くのがとてもうまい漫画家さんだと思います。