夏が終わるとか夏休みが終わるとか夏がとか言い過ぎなのはわかってるのだけど、こう日に日に涼しくなって、18時半、外見るとまっくら、なんてことに気づいたりすると、唐突に「ああ夏が終わってしまった」とか思って途方に暮れる。
実際には何をしたわけでもないのに、夏の、あの、なんの根拠もない全能感を懐かしく思い、取り返しのつかないことをしてしまったような気分になる。その絶望感といったら、小5だったらきっと布団に突っ伏してるくらいだ。
人気のない電車の、窓の外の日差しと白く飛んだ緑、対照的に濃く影の落ちた車内が、がたん、と揺れて開いたドアの向こうに見えるコンクリートはきっと触れたら熱くて、水撒いて蒸発するとこ見てみたいとか、あの柵の向こうに何があるのかとか、海見えないかなとか、ビール、なんてあれこれ思ってるうちにまたドアがしまってもう開かない。誰も乗ってない電車で、誰もいない駅に着いて夜で寒い。
なんでもっと早く降りなかったんだろう、と思いながら車庫へと帰っていく電車を見送ってまた来年。
ただ、その「いつか」がちゃんとくるのかわからないけど、まだ夏に、なんだってできるような期待をするところはあって、だから今年もちゃんと夏だったと思う。
- 作者: あずまきよひこ
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- 発売日: 2006/04/27
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