ハレー彗星

クリィミー・マミの「ロング・グッドバイ」が作られたのは、ハレー彗星の接近を翌年に控えた1985年のことで、昨夜をそれを思い出しながら、そういえば当時、次のハレー彗星が近づくときに、自分はまだ生きてるんだろうかと考えていたのを思い出した。約76年周期だというから、次の予定は2061年で、けっこう微妙なところだ。
1985年頃の私は、雨が降れば酸性雨だと騒ぎ、コカコーラの自販機に貼ってあったエリック・クラプトンのポスターを、マイケル・ジャクソンだと思いこんでいた。ロシアはソビエト連邦だったし、1999年に世界は滅びる予定だった。牛乳の一気飲みが流行り、ドラクエにはまり、弟が2人と妹が1人生まれた。近所の小学校で9の字事件があって、いろんな噂が流れたりもした。
子どもの頃のことを思うと、体の殆どが目だったような気がする。それは記憶の殆どが映像でできているからかもしれない。
大人になった今、目を閉じてまず浮かぶのは言葉だ。どうか、という言葉の先に続く漠然とした風景を眺めながら、2061年のことはまだ思い描けないけれど、手の届きそうな数年後が、大丈夫であるようにとか、思ってるうちに眠る。