思い出のマーニー


感想を書くのがずいぶん遅くなってしまったけれど公開してすぐ見に行ったし、2回見に行ったしつまりすごく好きな映画でした。とはいえ、多くのジブリ作品のように、双手をあげておすすめ!とは言えないと思うのは、多くの人がジブリ映画に期待するであろう、冒険活劇的な要素はまるでなく、脚本も少しいびつな作品であると思うからです。
それでも自分にとって大切な作品になったのは、終盤にある、クライマックスともいえる場面が本当にすばらしかったから。
主人公である少女アンナは病弱で、人を寄せ付けないところのあるおとなしい少女として登場する。おとなしいだけでなくどこか自分以外の人を見下しているようなところすらある。殻にとじこもって、でも誰かに手を差し伸べてもらうことを期待している。
ちょっと中2病…と思わなくもないのですが、こういう屈折の仕方って身に覚えがないですか?(え、ない?ならいいけど!)ともかく、そういう子が、自分を受け入れるまでのお話、なので、マーニーが実は…というところは個人的にはどうでもよく、ただひたすらにアンナがマーニーに期待し、裏切られる、ということを繰り返していくうちに、主体として行動するということを獲得する場面にほんとうにぐっときました。
謎解きが、突然判明した解説員にすべて委ねられるとか、行動範囲に広がりがないとか、マーニーの魅力が伝わりにくいとか、謎がとかれすぎてファンタジーがないとかロハスとか色々あるけど
でもアンナが自分から手を差し伸べ、許すことを知るあのシーンがあるだけでこの映画は大事な作品になったと思います。美しく正しい心根などなくても、人は人を許すことができる。あとさやかちゃん超いい子。
ジブリの今後はとても気になるけど、この宮崎監督がほぼ関わらなくなったという*1タイミングで米林監督がいわゆるジブリヒロインとは真逆の女の子を描いたのはすごくよかったと思います。
できればジブリの冒険活劇と、このような思春期ものを死ぬまで交互に見て新作楽しみにしたかったですが、どうなるんだろう。

*1:とはいえ「マーニー」を映画化することを提案したのは宮崎監督だそうですが