都会のアリス [DVD]


都会のアリス」はとても好きな映画で、何度も繰り返し見てしまう。
好きな監督は?と聞かれたらヴェンダースと答えるだろうし、そのヴェンダーズの中でも「パリ・テキサス」と並ぶほどに好きな映画である。

物語は、ポラロイドカメラを片手にアメリカに滞在しているドイツ人ジャーナリストが、「何も書けない」という状況のままドイツに帰ろうとしているところから始まる。
空港までたどり着いたところで、主人公はある母娘と出会い、ストライキ中で飛行機が飛ばない為に、その母娘と一晩ホテルにとまることになる。
しかし、朝になるとその母親は消えていて、アリスという名の少女と主人公は二人でとりのこされている。そして「仕方なく」アリスの祖母の家まで送り届ける為の旅をはじめることになる。

主人公はたいてい何かにイライラしていて、幼いアリスにさえあたってみたりする。写真を撮り、現実の風景と見比べる主人公に対して、アリスは言う。
「きれいね、からっぽで」
少女と青年では、きっと少女のほうが大人なのだろう。アリスはとても魅力的な女の子だけれど、たまに見せる子供っぽさに私はほっとしてしまう。
大人である、というのはこの場合、現実と立ち向かっているということだけれど、それは少し悲しいことにも思える。

主人公の苛つきの原因は全て自分自身がからっぽであることに対するものだと私は思う。だからこそ、この映画に惹かれる。
一人でいることが好きな主人公に共感するとともに、ラストに向かって、アリスとの間に決してなれ合いではない感情が生まれてくるのを画面に感じ、私は嬉しくなる。

青年と少女の物語という点で、大島弓子の「裏庭の柵を越えて」も大好きな作品だ。この作品の主人公は少女のほう。主人公はアリスよりずっと子供であることを楽しんでいるように見えるが、青年の孤独という点では、「都会のアリス」に近いものを感じます。

この映画を見たいと思う時って、けっこう行き詰まってる時。今日はどうだろう?
またレンタルしてきたんだけど、いい加減DVDで欲しい。

サーフィン

On & On (Dig)
昨年の夏はJack Johnsonの夏だった、と思う。
というか彼の主催するBrushfire Recordsを筆頭とした、サーフ系アコースティック・サウンドがブレイクした年だった、ような気がする。
サーフミュージック(と言って良いのかな?)自体は2003年くらいから盛り上がっていたけれど、DONAVON FRANKENREITERや最近移籍してきたG.Loveスペシャルソースとれたらしい)を中心に、去年の盛り上がりぶりはすごかった。そんな中、友人が誕生日プレゼントにくれたのがこのCDでした。

そのCDをくれた友人の話では、サーファー同士のコミュニティというのは非常に結束が堅くて、ハワイではサーファーが運営するラジオ局?もあるらしい。もともとサーファーとして有名だったJack Johnsonは、事故で(骨折かなにかだろうか?)入院し、その片手間に作曲をはじめたのだと彼は言っていた。
なんでも「はじめてみる」っていうことは大事だ。

そしてこんなに気持ちの良い曲を作れるジャックはきっと気持ちの良い生活をしてるんだろう。という確信の勢いで、去年ドキュメンタリー方式のサーフ映画「STEP INTO LIQID」も見にいってしまった。

ステップ・イントゥ・リキッド [DVD]

私はほとんど泳げないくせに海が好きで、いつかは海のそばで暮らしたいと思っている。
しかしサーフィンと言うスポーツには疎くて、なんだか日焼けしたお兄さんのやるもの、というようなイメージしかなかった。

それなのに「STEP INTO LIQID」にでてくるサーフィンアディクトの人々の顔と言ったら、本当に幸せそうだった。そしてそれだけの魅力があるのだということが伝わってくる迫力があった。

友人の話に出てきたサーファーの人も、半年は日本でお金を稼ぎ、のこり半年はハワイでの生活を送っているらしい。
純粋に好きなもののために働き、あたりまえのように楽しんで生きている。それはほんとうに輝かしいことだと思う。

ということを今日の昼間、雪が降るのを見ながら思い出していた。