ベルカ、吠えないのか?/古川日出男

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?

すごい、なんて陳腐な言葉しか浮かばないけれど、すごい物語だ、と思った。太平洋戦争時からソ連崩壊に至るまでの人間の、戦争の歴史と表裏一体となった、イヌの歴史についてがこの本には書かれている。だからこれは、一九五七年の、十一月、イヌ紀元ゼロ年を中心として描かれる歴史だ。
全てが駆け足のように思える。そしてそれは実際、哮り、駆けるイヌと、イヌと交わった人間の物語だ。
たくさんのイヌがいて、それぞれの生や本能があって、そこから遠いところで動いていく世界があって、その個と世界の遠さはまるであの一九五七年に見上げる空と地上ほどもあるように思える。
いろいろ狂う。狂っているように見える出来事もある。でも、歴史なんてのは実は角度をかえれば、いくらだって変化して見える。

これはフィクションだってあなたたちは言うだろう。
おれもそれは認めるだろう。でも、あなたたち、
この世にフィクション以外のなにがあると思ってるんだ?
(まえがきより)

とにかく、物語って、すごいなあ、と私はバカみたいに感心してこの本を読み終えたんだけど、例え全てがフィクションでも、それを読んで感じることってのは、真実なんじゃないかと思ったりする。
万人にお勧めできる本ではないと思うけど(意味わからん、という人もいるだろうとは思う)私は、イヌに夢中だった。例えばアイス。それからあの怪犬仮面がグッドナイトとの邂逅に啓示を感じる場面。私はすっかりしびれてしまって、夢にまでイヌが出てくるような勢いです。うぉん!
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「ロックンロール七部作」の感想 → id:ichinics:20060127:p1

 会話に正解はあるのかな

いつも読ませてもらってる「空中キャンプ」さんの文章でちょっと気になったところがあった。男女におけるコミュニケーションの質のちがい、ということについてなんだけども、

男性には、こういったコミュニケーションの発想がない。「私がAといったら、Bと返事してほしい」という考え方をしない。つまり、期待する答えはあらかじめ決まっていて、お互いが手順通りに会話をして、それが両者の予測通りに成立する、というコミュニケーションに対して、どうして満足を覚えるのか、いまひとつよくわからないのである。
http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20060222#p1

この文章を読んで、あーまあ確かに、と思う反面、ちょっと違うような気もした。コミュニケーションについて考えるのって難しくて、どうしても自分が普段どうしてるかってことを中心に想像してしまうんだけど、例えば、Aと言ったらBと言ってくれっていう空気読め圧力みたいなのは男の人にはないんだろうか? 例えば私の友達の男の子達には明らかに慰めてほしそうだなぁというときがあるけれど、それは私が異性だからなのかな?(もしくは私の勘違い?)

私も、この日記ではうっとうしいことたくさん書いたりするけど、日常生活ではわりと空気読んで生活してる、と思う。たぶん。一応心掛けている。褒めて欲しそうなら一応褒めるし、何かに怒ってる相手にはそれなりの共感ぽいものを示してみたりもする。逆に自分が気になってるものに対して「そんなのどうでもよくない?」みたいなこと言われても「私は好きだけどなぁ(あはは)」みたいな感じで受け流すこともある。もちろん、反論したくなるときもあるけど、反論してる時はわりと相手に気を許してるときだ。それか、絶対譲れないとき。
だから逆に気を許してるはずの相手に、型通りの言葉を言われたりしたら、それはそれで「えー」と思ってしまうけど、それもまた正解を求めてることになるんだろうか?
ともかく、私の中では「Aと言ったらBと言おう」っていうのは、気心知れる前の牽制しあってる感じなのかと思ってた。そして私自身が上の空でそういう話し方してるとよく怒られます。
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でもたぶん「空中キャンプ」さんで書かれてることは、ちょっと違う話な気もする。
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ちなみに全然関係ないけど、古川日出男さんの文章読みながら時々zoot32さんの文章を連想してました。リズムがある感じ。

続き

id:ichinics:20060228:p3

 電気用品安全法について

電気用品安全法というのは電気製品に安全確認マーク(PSEマーク)をつけて製造、販売することを義務づけるもので、2006年4月以降からはそのマークの表示がない製品の販売はできなくなるという。
以下の記事がすごくわかりやすかった。

PSE法は、基本的には製造・輸入・販売の3業者に対する法律である。そして中古販売事業者は、これを除くと明示されてない以上、「販売」の業者に含まれることになる。PSEマークの有り無しで影響を受けるのは、市場に出てから数年が経過したのち、再び売られるという時間差が存在する、中古市場がもっとも大きい。
電気用品安全法は「新たなる敵」か (Side A)

とりあえずこの記事を読むと、中古市場についてきちんと分けて考えられてはいない法律のようです。この署名(http://www.jspa.gr.jp/pse/)があつまって中古市場について理解のある法律になればいいなあ、と思うのですが、あまりにも間近に迫った法律でちょっとびっくりもしています。知らなかった…。