「ユーレイ窓」/三宅乱丈

三宅乱丈作品集 ユーレイ窓 (Fx COMICS)

三宅乱丈作品集 ユーレイ窓 (Fx COMICS)

たぶん「王様ランチ」以来の短編集だと思いますが、改めて、三宅乱丈さんの短編をもっと読みたいと思いました。面白かった。
お話はホラーとコメディが中心。ホラー部分は落ちまでしっかり構成された話ばかりで、1話読み終えるごとの満足感がすごい。特に表題作「ユーレイ窓」が面白かったです。
それから、コメディの方に入る『謀反「ラーメン説」』にでてくる「日向守御苦労麺」のおいしそうさったらなかったな。「秘密の新撰組」や「ぶっせん」のアクの強さに通じるところもあるんだけど(そして私はそれがちょっと苦手なのだけど)、短編だと程よいです。
「ミント刑事」も笑った。そんで唐突に、三宅乱丈の漫画はポン・ジュノの映画に通じるところがある! とかひらめいた気がしたんだけど、それはこのミント刑事の顔がユン・ジェムンさんに似ているような気がしたからで、でも確認したら全然似てなかった。
でもこの怖いと面白いの間の感じに共通点があるような気はします。

 カレー鍋

週末は、友だちの家で鍋をした。
途中、買い忘れたものがあって外に出たのだけど辺りにコンビニが見当たらず、適当に歩いていて出くわした酒屋に入った。店に明かりはついているけれど店内には誰もいない。奥をのぞくと、テレビの前に小学生くらいの女の子が座っているのが見えた。
少しためらって声をかけると、奥から前掛けで手を拭きながらおばあさんが現れ、ああ夕食時なんだ、と思う。お会計をしている最中にもう1人お客さんが入ってきて、少しほっとしたけれど、なぜかはよくわからなかった。
空には切った爪のような月が浮かんでいて、すごく寒かった。ふと、以前見た「今日のできごと」という映画で、こんなふうに、家に皆がいるのに男の子が1人で外にいる場面があったのを思い出す。確か、彼が外にいたのは好きな人に電話をするためだったような気がするけど、もしかしたら違うかもしれない。
友だちの家に帰ると、ドアの外でもカレーの匂いがした。その夜はみんなでカレー鍋を食べた。