カレー鍋

週末は、友だちの家で鍋をした。
途中、買い忘れたものがあって外に出たのだけど辺りにコンビニが見当たらず、適当に歩いていて出くわした酒屋に入った。店に明かりはついているけれど店内には誰もいない。奥をのぞくと、テレビの前に小学生くらいの女の子が座っているのが見えた。
少しためらって声をかけると、奥から前掛けで手を拭きながらおばあさんが現れ、ああ夕食時なんだ、と思う。お会計をしている最中にもう1人お客さんが入ってきて、少しほっとしたけれど、なぜかはよくわからなかった。
空には切った爪のような月が浮かんでいて、すごく寒かった。ふと、以前見た「今日のできごと」という映画で、こんなふうに、家に皆がいるのに男の子が1人で外にいる場面があったのを思い出す。確か、彼が外にいたのは好きな人に電話をするためだったような気がするけど、もしかしたら違うかもしれない。
友だちの家に帰ると、ドアの外でもカレーの匂いがした。その夜はみんなでカレー鍋を食べた。