かいじゅうたちのいるところ

監督:スパイク・ジョーンズ

予告を見たときから楽しみにしていた作品。とてもよかったです。
主人公の少年、マックスが、ある日お母さんと喧嘩して家を飛び出し、「かいじゅうたちのいるところ」へ行くお話。そこでマックスは王様になって、いろんなことを「OK」にしようと試みる。

ここで描かれているのは、子どもの頃の、世界と自分の境目があいまいな感触だと私は思った。自分がいて、他の誰かがいて、その誰かの気持ちに自分の手が届かないということを知ったときの無力感と苛立ちが、画面からふくれあがってせまってくるようだった。
特に、マックス自身の分身のような「かいじゅう」とのやりとりは、見ていてはらはらするところもあるのだけど、彼とのやりとりから、マックスは自分だけでなく、他者もまた「自分」なのだということを、知ったのだと思います。
そして、他者と関わるのは難しいけれど、それでも、関わることで世界はすこし変わる、という手ごたえを見つけて、映画は終わる。

私自身のことを思い返すと、マックスよりもうちょっとひねくれてた気もするのだけど、冒頭の雪遊びの場面とかね、こんな風にしたいんじゃないのに、って思いながら、世界がもどかしくてたまらない感じをうまく描いているなと思いました。
あと全体的に無茶というか、理不尽だったりするところも、生々しくて面白い。

 「坂道のアポロン」5巻/小玉ユキ

坂道のアポロン (5) (フラワーコミックス)

坂道のアポロン (5) (フラワーコミックス)

読み始めたとき、なぜか舞台設定が60年代ということに気づいてなかったせいで、軌道修正するのに手間取ったんだけど、やっと慣れた気がします。
前の巻で、喧嘩してしまった薫と千太郎が仲直りする巻。
文化祭でのライブシーンがとてもよくて、この場面を音付きで見たくなりました。
彼らにとってジャズが特別だっていうことがよくわかるシーンだった。それで、再び練習に行った時の、おじさんの嬉しそうな感じがまたよかったです。