「夕凪の街 桜の国」/こうの史代

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
文化庁メディア芸術祭ではじめてこの作家さんの名前を知り、やっと書店で見つけて購入しました。

この本はヒロシマを舞台として「当時に生きた人」と「現在に生きる人」の2つの視点から描いたもの。私には、今まで読んだことのある「原爆」についてのどの話よりも、身近に感じることができる物語でした。
あとがきには「『夕凪の街』は35頁で貴方の心に湧いたものによって、はじめて完結するものです」とあったけれど、私はというと、読み終わった後は、ただ呆然としてしまうだけだった。そのまま、救いを求めるように『桜の国』を読んで、やっと、過去と今は確実に繋がっているからこそ、そこであった出来事から目をそらすのではなく、知って、考えていかなければならないなと思うことができました。うまく言葉にできないけど、そこに向かい合おうとする作者の意識に応えたくなる。

予備知識無しで読んだので、表紙の雰囲気から想像していた話と全く違っていて驚いたけど、読み終わってみて、この作家さんの描く空気がとても好きになってしまった。他の作品も読んでみようと思います。