今日お昼ごはん買いにいくついでに書店で買って、帰りの電車の中で読了できずそのまま喫茶店に寄って読了。
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/02/23
- メディア: 単行本
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しかし「沖で待つ」は、これまた全く異なるアプローチで描かれてる短編で、童話のような語り口が冒頭の軽いパンチ*1と相まって、その世界に引き込む力を持っていたように思う。
物語は主人公の会社の同期だった「太っちゃん」との「約束」を描いたものだ。
「(略)だって、そういう人は何でも知りたがるから。でもおまえだったら見ないって約束したら見ないでいてくれるような気がするのさ」(p78)
ここでの「そういう人」とは、自分と恋愛関係にある人ということだ。あああ、そうかもしれないなぁと思う。見ないと言うことが無関心なのでもなく、見てしまうということが傲慢なのでもなく、そういう関係性というのは、あると思う。
同じものを支えている感じと、お互いに支えているものを見ている感じというのかな。っていうのを風景であらわすと、p107で書かれているイメージなんだろうなと思った。そして、その視線の距離こそが、この物語における最初と最後のシーンに自然さを与えているような気がする。
*1:帯文読まないで読んだので