- 作者: 木尾士目
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/22
- メディア: コミック
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表主人公笹原の山場は8巻で終わってしまった感じがしますが、付録で多くの人が書いているように、9巻を読むと、しみじみと主人公は斑目だったんだなと思う。というか、この漫画を読んでいる人の多くは班目に感情移入するはずで(主観ですが)、だからこそ、その班目をフォローしてくれたところが9巻を読んで一番嬉しいとこだった。
そしてふと、同じく青春群像ものの女性版として同時期に連載されていたハチクロにおける竹本君と笹原はつながるところがあるけれども、班目に対応する人物、つまり読み手がもっとも感情移入するはずの人物は誰だったんだろうと考える。女性メインキャラといえば山田さんか、はぐだけども、二人とももてもてで、という受け皿の用意されているものが少女漫画なのかとか思う。
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ともかく。
「げんしけん」は素直に面白い漫画だったと思います。
私は、このような趣味のコミュニティにほとんど属したことがなく、大学のサークルは音楽関係で、それはそれで楽しかったけど、おたく趣味みたいなのは受け入れられない雰囲気だったし、でもサブカルはアリみたいな微妙な境界線上にいたので(まあそういうのは逆もしかりなんだろうけど)、この感じはほんとうらやましかった。
さかのぼれば「おたく」という言葉が出てきたことで、いろいろこじれたような気がする。それが悪いというわけではないし、それによって生まれたものもあると思うけど、でも何かかわったような気はしていて、それは今過渡期にあるようにも感じる。
私が「おたく」という言葉を頻繁に耳にするようになったのはたしか小学生の頃だった。私は男兄弟が二人いたこともあって、ジャンプ読んでアニメ見てファミコンやってというような小学生だったんだけど、小学生時代にはほとんど感じられなかった何かが、中学にあがった頃にはすっかり出来上がっていた。中学生時代に私は美術部にいて、美術部は油とイラストに別れてたのですが、その頃のイラスト班の疎外された感じったらなかったもんな。そして私は中学生にして外装を装着することを決意したのでした。覚悟はまったく足りなかった。
って、それほど葛藤があったわけでもないですが、それは私がたいしておたくな訳でもなくぬるく、漫画の話やらがしたければ兄弟間で存分にできたからだとも思います。恵まれている。ただ、そういう会話の場が家族の外で得られたことはほとんどなくて、だからこそ私はげんしけんがちょっとうらやましいんだろうなと思う。幻想かもしれないけど。
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ところで、げんしけんで描かれるおたくとしての女子二人が二人ともBL好きというのは、ちょっと(感情移入しづらくて)違和感があった(一応大野さんはコスプレにシフトをおいているけど)。
- 作者: 小島アジコ
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2006/12/14
- メディア: 単行本
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この作品を読んでても、801ちゃんはすごいかわいいしおもしろいし、いかにして801ちゃんになったかという過程には共感できるんだけど、なぜそっちに妄想するのかについてはよくわかんなくて、自分は、他人の妄想を楽めても、自分の中に湧いてくることはほとんどないのかもしれないなーと思った。
それは妄想以前に、全力で感情移入する方を選んじゃうからかもしれない。だから、キャラクターがたくさんでてくるキャラクター小説/属性ものみたいなのは楽しめない(ことがおおい)のかな。この辺りは、いつか具体例を見つけたら考えてみるかもしれない。