向こう側

今日は、夕方から打ち合わせのためにでかけた。
でかけていったのは相手のご自宅で、ひろびろとしたマンションの一室の、その混沌としつつも手の行き届いている居間に圧倒されつつ、お茶をいただいたり「とっておき」のお茶菓子をいただいたりしつつ、しゃべる。
相手はたしか80歳をもう過ぎている方で、でも現役でお仕事をしているお元気な女性だったのだけど、
何をしゃべっても見透かされている感じがするというか、手の内から抜け出せない感じというか、とにかく言葉につまると、一気に汗をかいてしまうような、緊張した数時間だった。「しゃべっててー」、といいながら別のことをしている。聞いてないのかしらと思うと聞いている。
そして、お別れする段になって、いきなり核心をつくようなことをおっしゃる。
ずるいなぁ、なんて思いながら、すっかり敗北した気持ちで町を歩いていたのだけど、それはたぶん、すごく遠いところから、いきなり肩をつかまれた驚きのようなものだったのだ、と、思う。

おなかすいたまま、社によって、寄り道して、家に帰ってきてもまだ、驚きは残ってるんだけど、その中身はもう別のものにすりかわってる。