「ピースオブケイク」/ジョージ朝倉

ピースオブケイク 1 (1) (Feelコミックス)

ピースオブケイク 1 (1) (Feelコミックス)

ずいぶん前に読んだのですが、昨日書いた「食い合わせ」という短編で思い出して日記検索してみたら感想書いてなかったので。
フィールヤングを購読してた頃の感想にちらっと書いたりもしてたけど、ジョージ朝倉さんの漫画はずっと読まずに苦手意識を持っていた。この「ピースオブケイク」も連載当初からわりと気になって読みつつ、そんでも最初から最後まで、物語には距離を感じていた。
それは多分、自分には絶対、こんなふうに感情をあらわにすることなんてできないからだと思う。そして、気持ちのかたちが定まらないまんまでいることが、物語中に時折はさまれる「沼」の描写(例えば「サプリ」でよく描かれる水面にも通じるところはある)と重なって、息苦しいというか、生気を吸い取られるような気がするからなんだと思う。
自分の気持ちなんてだいたいわからないものだ。直感で動いたほうがずっと正確だって思うこともある。
それでも、やっぱりこの漫画の底にある沼は私にはおそろしくって、気持ちを抱えるってことの重さみたいなものを思い知らされるのでした。好きか嫌いかと問われれば「苦手」ではあるんだけど、それでも圧倒的な漫画だと思う。