「脳内ポイズンベリー」1巻/水城せとな

脳内ポイズンベリー 1 (クイーンズコミックス)

脳内ポイズンベリー 1 (クイーンズコミックス)

面白かった!
失恋ショコラティエ」にはちょっと戸惑ったものの、「窮鼠はチーズの夢を見る」とその続編を読んだところで、水城せとなさんの漫画は“駆け引き”が読みどころなんだなと思ったのですが、この「脳内ポイズンベリー」はその駆け引きにいたるまでの主人公の「脳内」を描くお話でした。
主人公、いちこの脳内に常駐しているのは、どちらかというとポジティブなキャラクターが2人と、ネガティブ寄りなキャラクターが2人、中立にいる記録係が1人の計5人。いちこの行動と、その行動を起こすまでの5人のやりとりが同時進行で描かれつつ物語が進みます。
脳内の5人は独立したキャラクターであるにも関わらず、たしかに全員「いちこ」を形作っている。5重人格というわけではなくて、考え事をしているときって、こんな風に、頭の中にいろんな意見が出てくるものだよねと思いながら読みました。
意見がまとまらないまま行動してしまって、頭の中が驚いたり批判したり盛り上がったりする。「どうすればいいの…!」「いける!」「楽観禁止!」「わくわく」が同時にあるような、脳内のまとまらなさをキャラクターで描くという設定がまずとても面白いです。そして、彼らが導き出すその場その場での判断を「いちこ」というキャラクターの奥行きとしてまとめるところが、うまいなあと思いました。
続きがとても楽しみです。