「ブルックリン・フォリーズ」/ポール・オースター

ひとりで余生を過ごそうとブルックリンに越してきた主人公、ネイサンと彼が偶然に再会した甥のトム、そして彼らを取り巻く人々の物語。
登場人物の過去と現在の“愚行”を散りばめながら、ネイサンの目を通した日々が細かに語られていく様子は、インターネットで誰かの日記を読んでぐっときたりすることに似てる気がした。誰かとすごす時間、ひとりでいる時間、街の中には同時に様々な時間があって、それはその瞬間だけでなくこの物語のように紆余曲折あってたどり着いた今なのだということを思う。そして私の今も。
ネイサンがたどり着いたインスピレーションを結ぶ一言

本の力をあなどってはならない。

この言葉に涙ぐみながら捲った、次のページには思わず息をのんでしまった。

ブルックリン・フォリーズ

ブルックリン・フォリーズ

多分この物語を読んで感じたことは、アメリカのラジオ番組の企画に応募された、普通の人々の実話を集めたという「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」に原型があるのではないかなと思ったので(確か途中まで読んで積んだままになってる)近々読みたいなと思います。