脳男

監督:瀧本智行 原作:首藤瓜於
今日はドーン!みたいな映画をひとつ…という気分で見に行ったのですがちょうど良かったです。水曜日に見たので場内には制服の女の子がたくさんいたのですが、見終わった後は口々に「グロかったね…」「うん…」という声が聞こえてくる感じだったので、そういうのが苦手な人は要注意だと思います。

連続爆破事件の犯人として逮捕された主人公が、精神鑑定にかけられ、実は痛覚と感情がないということがわかる…というお話。設定にはいくつか疑問を感じるところもありましたが、メインの登場人物たちの演技がちょっと大げさなくらいなのがそのフィクション感としっくりきていたし、ダークヒーローものとして楽しんで見る事ができました。
主人公の精神科医が、彼の反応は、後天的に教えこまれた反応である、ということに気づく(?)場面も面白かったし、メインのストーリーとは別に、ほんとは感情があったりして…というのが、映画ならではの物語の推進力になっているのもよかった。そのような物語の仕掛け上、主演の生田斗真さんは、その表情を注視される役柄だったと思うのですが、映画全編を通して、常に静かな水の底にいるような遠さがあるのも良かったです。
それから染谷将太さんと二階堂ふみさんのヒミズコンビもよかったなあ。染谷さんの裏表どっちもアリに見える紙一重さも、二階堂ふみさんの、あんなにデフォルメされたキャラクターに重力を持たせている感じも、どちらもとてもこの映画にかかせないものだったと思います。「悪の教典」にも揃って出演していましたが、セットで起用したくなるのもよくわかる。いろんな役で見てみたくなる2人だと思います。

それから、この「脳男」は音の使い方がとても面白かった。伏線となる院内をめぐる「あれ」の移動する音、何かの予感を感じさせる効果音、爆破シーンもどれも音と映像のバランスがとても気持ちよかった。原作も読んでみたいです。