「恋は雨上がりのように」1~3巻/眉月じゅん

話題になっていた「恋は雨上がりのように」遅ればせながら読みました。
元陸上部の女の子が、バイト先のファミレスの店長に恋をしている…というお話。主人公は、よく「なんで睨んでるの」と言われてしまうくらい、表情に愛想がない女の子なんだけど、たぶん感情と表情を結びつける癖がないだけ、という感じで、だからこそ、衝動的にパッと顔に表情があらわれてしまう場面などがすごくかわいい。
高校生の主人公が恋をしている店長は45歳という設定なので、かなりの年の差だし、けしてかっこよく描かれてるわけではないんだけど、主人公が恋をした理由にはちゃんと納得できる。私が好きな昼行灯と呼ばれたあのキャラ(パトレイバー)にちょっと似てるのもいいです。
思いを寄せられていることを知ってからの店長の内面の描き方もよかった。特に学生時代の自分が出てきて、ふっと現実にもどる、みたいな場面で、主人公が店長の「僕」を拾い上げるシーンはぐっときました。

読んでて面白いなと思ったのは、女の子を主人公として描いていながら、モノローグが彼女の周囲にいる男性によるもので、彼女自身のモノローグはない(たぶん)というところ。彼女の恋心は彼女の行動や仕草や視線で表現されていて、でもそれで充分に伝わってくる。
でも彼女の一人称がないことで、読む側は彼女に感情移入するというより彼女をかわいいなと思って読む方に近くなる気がして、ふと見てみたらこれ男性誌(月刊スピリッツ)での連載なんですよね。
女の子が主人公の片想いもの、って設定的には少女マンガなのに、女の子がヒロイン的に描かれているのはそういうことなのか、と思いました。
それでも、描かれる恋はあくまでも女の子の能動的なものなので、都合の良いヒロインにならない。さじ加減がとても上品だなと思いました。