たまに、とりつく島がない、と言われることがある。
この日記のことだ。わかるような気もするけれど、どうやったら島を作れるのかがよくわからない。
仮に私が流されていたとしたら、どのような島にとりつきたいだろう。それ以前に、私は泳ぎが得意ではないので、島を見つけるまえに沈んでしまいそうである。つまり、任意の島にとりつくためには、まず泳ぎの練習からはじめなければならない。
しかし、生まれてこのかたクロール25m以上の成果を出せたことがない私の場合、ビート版でも抱えておくのが賢明ではないか。ビート板はいい。冷たい水の中でも、ほんのり暖かく感じられるところが良い。コピーされたての書類みたいな、慎ましく儚い暖かさだ。
もう20年以上触れてすらいない気がするけれど、おそらく私の島はビート板のようなものだろう。
だだっぴろい海で、ビート板のみをたよりに浮かんでいるところを想像する。周囲にとりつく島はない。