運命じゃない人

ichinics2005-08-02
内田けんじ監督作品。
これ、とっても面白かったです。ふらっと見に行ったんだけど、すごく楽しくて、見終わったあとには拍手してしまいそうだった。
ストーリーは3人の男の視点から描かれる、金曜の夜から土曜日の朝までの物語。主な登場人物は5人なんだけど、全員のキャラクターがくっきりとしていて、しかも自然に見える。特に、お人良しの宮田君を演じてた中村靖日さんには不思議な存在感があって、憎めない「いい人」っぷりがしっくりきていた。ちっともわざとらしくなくて、みているこっちもにこにこしてしまう。そして中村さんの親友役をやる山中聡さんも小気味良くて、物語のテンポをひきしめてたように思う。女性達は迫力があった。
そしてとにかく脚本がいい。凝った構成なのに、スマートでわざとらしくない。伏線も効果的で、会場内はいい感じの笑いに包まれてました。
私はこういう、1つの時間の中で様々な人の人生を見せるというお話がほんとに好きで、漫画とか小説だと「日曜日たち」とか「ひかりのまち」とか伊坂幸太郎さんの作品とか、映画だと、ぱっと思い付くのは「21g」とか「彼女を見ればわかること」や「フォールームス」とかかな。だから、その構成面だけでもすごく楽しいんだけど、その手法に凝るということがメインなのではなくて、こんな風にいい気持ちで笑える作品だったっていうのが重要だったんだと思う。
もちろん、いいことばっかりではないんだけど、なんというか、人生って面白いですね、と思わせてくれるような映画だった。

三十過ぎたらもう、運命の出会いとか、自然な出会いとか、友達から始まって序じょに惹かれあってラブラブとか、いっさいないからな。もうクラス替えとか文化祭とかないんだよ。自分で何とかしないと、ずっと1人ぼっちだぞ、ぜったいに、ずーっと。

という辛辣な名台詞には会場から乾いた笑いがあがってましたが(含む私)他にもたくさん、脱力しちゃうような面白い言い回しがちりばめられてた。この台詞のシーンでは、風景の中にいる人の細かい演技も面白かった。
ほんといろんな人にお勧めしたい映画だったなー。大満足。