食べる幸福

私にとっての幸福は、満ち足りる状態の、一歩手前にあるような気がする。もしくは、幸せだということに気付かない状態。
食事の準備が楽しい、食事中も楽しい、食べ終わってからもまだ楽しい気分は続いている、が、数時間もたてば忘れたり、もの足りなくなったりする。
食事の幸福は、目の前の幸せに夢中になっているからこそ、「今幸せか?」という自問なんて行わない状態のことだと思う。終わる、と意識したときから、それは過去の幸福になって、また次のそれを待つニュートラル状態に入る。
その「夢中」を幸福とするのなら、空腹か満腹かはただ通過する状態でしかなく、その間にある漠とした状態の中の、食材を手に入れたり、おいしそうな匂いを嗅いだり、最初の一口を切り分けるときの、なんかこう可能性のようなものが見えた瞬間が、もっとも幸福の感じに近いんじゃないかなと思う。
もちろん「○○に比べたら、よっぽど幸福だ」なんていう言葉は、不幸(もしくは幸せではない状態)と比較してどうかという話なので、私自身の幸福と重ねて語るべきではない。不幸が「幸福でない状態」だとしても、幸福は「不幸ではない状態」ではないのだから、自分は自分の知っている幸せ以外について語ることはできないのだと思う。

参考:(http://d.hatena.ne.jp/./michiaki/20061126#1164517162