竜のかわいい七つの子/九井諒子

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子 (ビームコミックス)

とっても楽しかった! 前作もすごく気に入ったのですが、この新刊を読んでいるあいだずっと、楽しくってそわそわして、確実に自分がいま一番好きな漫画家さんのひとりだなと思いました。それはなんでかっていうと、もう単純に、好みなんですよね!
絵柄も、扱うテーマも、シリアスとコメディのバランスも構成も、自分が大好きなものがいっぱい詰まってる感じ。
ジャンルはファンタジーSFっていえるのかもしれないけど、この本でいえば
「竜の小塔」「子がかわいいと竜は鳴く」はどちらかというとファンタジー寄り、「人魚禁猟区」「わたしのかみさま」「狼は嘘をつかない」「金なし百祿」「犬谷家の人々」はSF寄りかなと私は思います。なんでそう思うんだろ…区分けが自分でもよくわかってないんですが。
特に気に入ったのは「人魚禁猟区」「わたしのかみさま」「狼は嘘をつかない」「金なし百祿」の3作品です。
「わたしのかみさま」は八百万の神様が見えてしまっていると思われる小学生の女の子のお話。困った顔がとにかくかわいい。
「人魚禁猟区」は人魚という存在が当たり前にいて、例えば手塚治虫漫画にでてくるロボットのように、人との境界線が曖昧である時代のお話。ただ、主人公はごく普通の進路に迷う高校生で、ある人魚とかかわっていく感じの顛末がよかった。そう簡単ではないよね、でも、ってところが好みです。
「金なし百祿」は、あまりにも画が上手いために、瞳を書き入れると描いたものが実在してしまう画家と、その画家によって実在させられた贋作君のおはなし。コメディなんだけど、もう最高に切なかった。素晴らしいと思う。
「金なし百祿」は湯浅政明監督がアニメ化したらいいのにな!と思います。
とにかくとても読みごたえのある短編集で、とってもおすすめです!