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 「ハウアーユー?」/山本美希

読んだ comic

ハウアーユー? (フィールコミックス)

ハウアーユー? (フィールコミックス)

twitterなどで話題になっているのを見て気になって買った作品。でもなんとなく読むのがこわいような気持ちがあって、しばらく積んでいたものを、ようやく読みました。読んでよかったと思います。でも読み終わった後、すごくへこみました。
国際結婚をして日本に住んでいる美しいリサは周囲の憧れの存在で、特に隣に住む少女「ツミちゃん」は彼女をしたってよく庭に訪れていた。俳句をたしなむ優しい夫、反抗期だけれどかわいい一人娘、花が咲き誇る庭。そんな「理想の家族」が、リサの夫の失踪によって崩壊していく様子を、主に隣家の少女ナツミ(愛称ツミちゃん)の視点から描いた物語。
設定と、1巻完結の長編ということでまず連想したのは豊田徹也『アンダーカレント』だったのだけど、『アンダーカレント』には、まだ手に入ってはいないくてもあった、見えてはいる可能性のようなものが、このリサさんの寄る辺なさからは見いだせないのが本当に辛かった。
そしてここが底、と思えたその場所から、幾度も突き落とされるような展開も、凄みがあったと思います。映画になりそうだな、と思いながら読んでいたのだけど*1、もし映画になるとしたら、登場人物それぞれの視点から描いたオムニバスを見てみたいと思う。ぱっと思い浮かぶのは青山真治監督かな。

そして、この作品の紹介を見かける際によく岡崎京子さんの名前が挙がっていたのも、表紙だけを見ていた段階ではピンとこなかったのだけど、読んでみてすぐに腑に落ちるところがあった。絵柄で言えば特に目の描き方に既視感を覚えるところがいくつかあって(特に「「リバーズ・エッジ」以降の)、ツミちゃんのキャラクターとかも懐かしさすら感じるくらいだった(独り言の「なんちて」とかはオマージュなんじゃないだろうか)。
けれど、そういった既視感が物語を読み進める妨げになるかといえばそんなことは全くなく、物語に必要なものとしてすべてそこにあったし、そして実際絵柄が似ているというわけでもない。好きな漫画家さんの影響は見えるけれど、すでに個性を確立している作家さんなんだなと感じました。

「ハウアーユー?」は、個人的にもとてもしんどいお話で、読み終えてまる1日経ったいまも凹んでいるくらいなので、再読するにも勇気がいるなと思うのですが、でも確実に今年を代表する1冊だとも思いました。山本美希さんの、他の作品も是非読んでみたいと思います。

*1:最後まで読むとそう感じる理由もある