「逢沢りく」/ほしよりこ

とてもよかった。
ほしよりこさんの漫画を読むのは初めてだったのですが、読みはじめてみればするすると、そういうものだとして読む事ができました。
物語は逢沢りくという、美しくて、潔癖で、人に見せるための涙を流すのがうまい少女の物語。これだけで魅力を感じた人にはぜひおすすめです。

逢沢りく 上

逢沢りく 上

逢沢りく 下

逢沢りく 下

物語の内容にふれると、このお話は、逢沢りくが彼女の母親から解放されるお話なのだと思います。物語序盤、人に好かれることをほとんど鬱陶しいこととして扱っているりくが、母親に対しては期待のようなものを見せていて、母親がして欲しいと思っていることを察して、行動する。しかし母親はりくの思いなどしらず、彼女の見透かしたような振る舞いに、次第に彼女を遠ざけるようになる。
そのようなきっかけで、りくは新たな環境に身を置くことになるのだけど、そのように家から切り離されて初めて、彼女は等身大の少女らし差を身につけていく。母親のコピーではない逢沢りくになったのだと思います。
彼女の心が溶ける瞬間にとてもぐっときました。