バッド・エデュケーション

ichinics2005-04-16
ペドロ・アルモドバル監督作品。
映画を見終わった後、私の後ろの席にいた男の子2人組が、「こういう映画だったのかぁ」と顔を見合わせて照れくさそうにしてた。帰り道にやけに離れて歩きながら「予想外だったよな!」と言い合っていたのが印象的。確かに予備知識無しで見たらちょっと驚くかもね。

〈あらすじ〉
新進気鋭の映画監督、エンリケの元に、ある日イグナシオという俳優志望の青年がやってくる。そのイグナシオとは、エンリケの初恋の人であり、彼に手渡された脚本を読み進めるうちに、エンリケは彼等の少年時代の秘密をひも解いていくことになる。

トーク・トゥ・ハー」や「オール・アバウト・マイ・マザー」に続いてアルモドバル監督の作品は何故か映画館で見てしまう。けど特にこの監督が好きという訳ではなくて、今回は単にガエル・ガルシア・ベルナル目当てで見にいきました。俳優目当てで映画見にいくっていうのは私の中では珍しい。でもガエルの映画は今まで見たやつ全部良かった(特にアモーレス・ペロス)ので、期待してしまう。そして、その期待を裏切らない作品でした。エロい。
エンリケ役のフェレ・マルチネスも良いけど、やっぱりガエルが素晴らしい。3役を演じ分けているんだけど、その演じ分けが完璧。表情や動きで彼の心がどうあるのかが良く伝わってくるし、映画中の時の流れで太ったり痩せたりしてるんだけど、その体格の違いだけでも人格が全然違って見える。特に印象に残ったのがプールの中に立っているアンヘルを上から映したシーン。ブリーフ1枚でもセクシー(なんて言葉は久々につかった)なガエル。あの目が色っぽい。
ストーリーをイグナシオの視点で見ていたので、ラストにその秘密が明かされていくところでは若干の失望とともにこのタイトルの意味について腑に落ちたような気がしていた。しかし、最後の最後になって、ああ、この映画はエンリケが主人公だったのか、と気付いて、この映画全体の構成がいかに効果的に仕組まれていたのかが分かった気がした。
ストーリーもさることながら、エンリケ=アルモドバルなのか、という疑問も含め、どこからどこまでが真実なのかは分からない。いろんな捉え方ができそうな物語でした。
ところで、この映画には、おじさん達の恋してる瞳がたくさん出てくるんですが、これがまたとてもリアルな「恋と欲望の間で葛藤してる」感じ。映画中ずっと、老若問わない熱っぽい視線が溢れてるんだけど、この恋=肉体関係に直結してる感じには少々違和感を感じた。私がお子さまなんでしょうか。