スラムドッグ$ミリオネア


監督:ダニー・ボイル

近所の映画館にきたのでやっと見た。
物語は、スラム育ちの青年が、クイズ番組で勝ち上がっていくところからはじまります。そして、最後のクイズを明日に残したところで、不正を疑われ尋問を受けることになる。しかし、彼の語る「なぜクイズの答えがわかったのか」の理由は、そのまま彼の半生の物語だった…というなんかすごい「構成」してます!て感じの映画だった。盛ってあった。その過剰な感じが久しぶりで新鮮だったし、この監督の持ち味のような気もします。
そして映画では、クイズ番組の「答え」をキーワードに、幼い頃から青年になるまでの、主人公たち3人の成長の過程が描かれます。
特に印象に残ったのは、弟の宝物をすぐに奪おうとする兄の描写だった。俺が弟を守るんだって意地が空回りしてる感じとか、土壇場ではぜったい裏切らない不器用さがなんていうか切ない。ラストの兄さんはジャクソンズの一員ぽくてかっこよかったです。
それから、この映画は音楽もすごく印象的で、疾走感のある画面は見ていて楽しかった。役者さんもそれぞれ3人いるのだけど、すごくうまく「成長」してみえる良いキャスティングだったと思う。

ところで私はミリオネアという番組のことはよく知らないのですが(日本でもやってるのは知ってるけど見た事がなかった)、映画の中に、「なぜみんなこの番組を見るの?」と問われ、「現実を忘れたくて見る番組だ」と言う台詞がありました。
映画を見ている間中、なんかいろんなフラグが立っているような気がして落ち着かなかったのだけど、そんなフラグすべて踏み潰すようなラストは、この映画こそその台詞の通りの物語なんじゃないか、とかちょっと思った。