- 作者: 吾妻ひでお
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: コミック
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巻末のインタビューで吾妻さん自身が「本当に悲惨なことは避けてる」と言っていたけど、ほんとあらすじだけ言えば重くなってしまいそうな体験なのに、それをこれほど面白く軽やかに描けるっていうのがすごいなぁと思う。「醒めている」というか、やっていることは極端に思えるんだけど、すごくまともな語り口で、そのバランスが絶妙だ。途中に「本当はオレ芸術家だぞ!」という台詞があったけど、そういうプライドを持ち続けていられたからこそ、今これを描けるのかなぁとかいろいろ思った。そういえばこの作品の中では「何故失踪したのか」という理由について明確には語られていないんだけど、それを語らないでいられるというのもプライドなのかもしれない。そしてほんとにプライド高い人ってのは上からものを見るってことじゃなくてこんなふうにどこにいても自分の視点を保てるってことなのかもな。
とにかく面白かった。
ベストセラーゲーム化会議《『失踪日記』をゲーム化する!》
http://media.excite.co.jp/book/game/013/index.html
という記事を読んで、今村昌平監督の「人間蒸発」というドキュメンタリー映画を見てみようと思った。高度成長の影で失踪者がどんどん増えていった時代に、失踪者を探すという内容らしい。
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ところでhttp://d.hatena.ne.jp/ichinics/20050702/p2で触れた「世界とじかに云々〜」という柴田先生のお話が切欠で昨日の「光ってみえるもの、あれは」を読んだのだけど、「光って〜」とは全く別の方向を向いているようでこれは、とか思ったけどそのへんもうちょっと考えてみたいので保留。