敷居の住人1〜7巻/志村貴子

敷居の住人 (1) (Beam comix)

敷居の住人 (1) (Beam comix)

遅ればせながら全巻まとめ買い&まとめ読み。
志村貴子さんの長編作品を読むのは初めてなんですが、なんだか不思議な漫画だな、と思いました。あっちにもこっちにもまだ行けない、敷居の住人たちのお話で、こう、つかみ所が無んだけど、しっかり頭に残る。
いろんな登場人物が出て来て、右往左往して八つ当たりしたり投げ出したり傷ついたり自己嫌悪したり、でもやっぱもとに戻ったりする様を、「ふーん」なんて言いながら読んで、我が身を振り返って身悶えしたりして、また読みながら「へー」とか斜めに構えつつ、まあ、私も適当にやるからそっちも元気でね、なんつって読み終える感じだったんですが、けっこうじわじわと、なんかいろいろ考えさせられる。つまり、他人の振る舞いに対してイライラするのは、そこに自分自身を見るからでもあるんだよね。とか、そんなことを今さら思ったりもした。

「…え―― でてきたところで辛いことの多い世の中です」(5巻vol.40)

ってお腹の子どもに話かける兼田先生の台詞がいろいろ物語っているような気もしますが、それでもね、という先を語らずに終える、そういう所が好きです。
1巻くらいだと、ちらほら吉野朔実さんの絵柄にちょっと似てるとこもあって、そういえばお話のテンポとかも近いような気がする。

敷居の住人 (7) (Beam comix)

敷居の住人 (7) (Beam comix)