夢なのに夢じゃなかったのに夢だった

目が覚める夢、というのは何度か見た事があるけれど、今日の夢は特に生々しかった。
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私は祖父の家にいる。居間と隣接した、温室だけど現在は書斎として使われている場所の前で、朝ご飯を食べている。母親に「煮魚食べちゃって」と言われて渡されたのは、「およげたいやきくん」のイラストみたいな魚。箸で半分に割ると、白身(尾)の部分と内臓(頭)の部分にきれいに別れる。
食べ終わった後、妹の座ってるソファの向かいに腰掛けて、少し話をしつつ、うとうとしはじめる。
意識が遠のいてきたところで、そこに見えているのは古本屋だった。木造の一軒家で、左右のショウウインドウの真ん中に摩りガラスの扉がある。そのガラス扉には文字が書いてあって、それを何度か眼で追って、私はようやくその内容を把握する。
そこにあった文章は今考えるとちょっと意味が通らないのだけど、日記風の文章で「このまま順調にいけば○○が手に入る。手に入る算段はついている。」というようなことが書いてある。その○○は私にとって凄く大事なものらしく、私は慌てて起き上がり、母親を呼び、「あの古本屋の扉に書かれているのは○○という内容で合ってる?」と確認するのだけど、そこにはやっぱりその通りのことが書かれているらしく、私は「これが夢だったらいいのに」と思う。
母親は「素敵な店ねー」なんて言って古本屋の店内に入っていき、上下巻の本(ヒットラーについての本だったような気がする)を私に見せたりしながら何か言うのだけど、うわの空な私は1人でそこを後にする。いつの間にか祖父の家ではなくて、その古本屋にいたのだけれど、場所は多分、下北沢の一番街の一番南口寄りの踏切前くらいだったように思う。
家に帰り着くまでの間に、散々「○○」を手に入れるためにもっと努力すべきだった、とかこれからなんとか出来ないもんだろうか、などと考えを巡らせるのだけど、自分のパソコンでニュースを確認すると、古本屋に貼ってあったのと全く同じ文面を見つけてしまい、やっぱり夢じゃなかったのか、と思う。がーん、なんて言う元気もないくらいショックで、おろおろして、呆然としてたら、いきなり眼が覚めた。
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眼を開いてしばらくはここがなんだかわかんなかったけど、なんか凄く晴れてて、どうやらさっきまでのは夢だったらしいということが理解できると、久しぶりに眼が覚めて良かったーなんてしみじみ思ってしまった。おかげで二度寝しなかった。