RF/Views Of Distant Towns

RFことRyan Francesconiの3rdアルバム。
村上春樹ねじまき鳥クロニクル」にインスパイアされた作品、という話を聞いて興味をもったのだけど、ずっとアマゾンカートに入れっぱなしだったもの。

Views of Distant Towns

Views of Distant Towns

やっと買って、聴いてみて驚いた。酔いざめの水のように、身体にしみわたる心地の良い音。生楽器によるオーケストラを主軸に描かれる静謐なエレクトロニカは、イーノの「Discreet Music」を彷佛とさせる。しかし、このアルバムの音楽は、もっと明確に、聴く者のおかれた環境に色を添えようとしている。空気に溶け、振るわせ、肌に触れる。どこかで聴いたことがある音のような気がする。白い壁、漆喰の、ガラス張りの天井、そこに移る緑色、日差し、丘の上からみる街、しんとして、目を開くたびに異なる景色の中に降り立つような。

ねじまき鳥クロニクル」という物語と、イメージを重ねた理由はほとんど感じられなかったのだけど、きっと聴く人それぞれに、物語を重ねることができる音楽なのだと思う。懐かしい、きれいな。