RIN/新井英樹

RIN(1) (ヤンマガKCスペシャル)

RIN(1) (ヤンマガKCスペシャル)

「SUGER」の続編「RIN」は、その第一話からもう、ものすごいエネルギーで、傲慢で天才かつ対人態度の最低なリンの魅力に、一気に引き込まれる。そして、この複雑なキャラクターを「動かせる」ってとこが、新井英樹のすごさだよ! 登場人物たちの誰も見ていないところで、コマはリンの、核心をとらえる表情をちゃんと見ている。見てるのに、届かないこの歯痒さ。そして届いたって扱えないリンの移ろいやすさと頑固さ。
たとえば「脳天気なバケモン」と称されるリンの笑顔は、好きな女の子のこととなると、自信がなさそうに引きつる。やっと出た2巻では、その恋の展開が、「漫画史に残る「童貞喪失」劇、敢行!」(とカバー裏にものすごい煽り文句がある)に、なだれ込んでいく。まるで自爆テロ。特に、11話のラストの畳み掛けなんて、もしかしたら今までの新井英樹作品で最も恵まれないできてるのはリンなんじゃないかって思えてしまうくらい、だ。

見捨てねえで止めてくれよオレを!!

その声は、千代に届くんだろうか。

RIN(2) (ヤンマガKCスペシャル)

RIN(2) (ヤンマガKCスペシャル)

見たこともないような恋愛漫画っていう意味では、これは新井英樹の今の「宮本から君へ」なのかもしれない。そして宮本に「仕事」があったように、リンには「ボクシング」がある。その、色恋と自分の仕事((生き方)との距離感覚というか、位置づけの仕方が、新井英樹作品における共通テーマなのかもしれないなと思いました。とくに足がもつれるような色恋の描きっぷりが冴えている。
これからどうなってくのか、まったく想像がつきません。めちゃくちゃ楽しみな漫画。
そして「SUGER」ちゃんと読み直そうと思います。

「宮本から君へ」感想(http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20060108/p2