The Destruction Of Small Ideas/65DaysOfStatic

Destruction of Small Ideas

Destruction of Small Ideas

65DaysOfStaticの3rdアルバム。
焦燥、疾走という言葉がよく似合う。どちらかというと線の細い印象だった2ndに比べると、ずいぶんと厚みを増した音作りなのに、抑制された音に感じる。それは彼等の選ぶ音、特にギターとドラムの音を丸く押さえていることに理由があるのかもしれない。乱暴に振舞ってもどこか上品な印象が拭えない。そしてたぶん、彼等のやろうとしていることは、そこに核があるのだろうなと思う。前作にあった混沌は薄れ、轟音も美しくコントルールされていることが、少し寂しい。
このアルバムは本当に格好の良い音楽だと思う。#2「Failsafe」の展開なんてものすごくドラマチックだし、音量をあげれば、すぐさまグッとくるフックもちりばめられている。ただすごく聴く側の気分に左右される音でもあって、だから今の私にはしっくりこないだけなんだと思う。
その焦燥、疾走の奥にある葛藤のようなものをさらけだしたものが見たいと思うのは、贅沢すぎるし悪趣味なのかもしれない。そして、その欲求は、この音が映し出す自身の空虚さを物語ってもいて、つまり私は今やっと、かつてishmaelさんが書かれていたRadioheadについての文章(id:ichinics:20050928:p1)が理解できるような気がしている。読めるなら全文読み返したいのだけど、自分が引用した部分しか読めないのがとても残念。