- 作者: 石田敦子
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2004/08/27
- メディア: コミック
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イチ乃と二太は双子の姉弟。幼い頃からアニメが好きだった二人は、東京で駆け出しのアニメーターとして日々奮闘を繰り返している。挫折し、立ち直り、また悩む、という繰り返しに成長の兆しが見え、また出会う人々の葛藤などを折り込みながら物語が進んでいきます。
業界ものとして読んでも、群像ものとして読んでも、立身出世ものとして読んでも面白い。「編集王」のアニメ版、というのが一番雰囲気がつたわりやすいかな。
途中までは、登場人物たちが挫折したとき、状況打破の糸口が常に「アニメが好き!」という気持ちに集約されがちだなーと思って読んでたんだけど、「アニメ」を選択するということにまつわる状況の切実さが描かれていくにつれ、それをはねのけるのにはやはり「好き」が重みをもつものなんだと思える。そのまわりに技術や経験を積み重ね、転がっていくうちにでかくなる。で、また簡単にでかくなれないとこが、ご自身もアニメーターとして活躍されてる石田さんだからこそ描けるリアルさなんだろうな(だからこそ恐ろしいドロドロな描写もあるわけですが)。
もちろん私は、ほんとのアニメ業界がどんなだか知らないけど、「動画」をやり続けたイチ乃がはじめて「動画チェック」を任されて、追いつめられてつかんでく感じとか、ほんどぐっとくる勢いがあります。
仕事にしたらもういい訳もできない
道はたくさんはない
うまくなるかそうでないか
うまく?
どうやってなるの?
#12
こういう台詞とか、ほんとつらい。けどやりたい、っていう気持ちもいっぱいつまっていて、だからこそ切実に感じられる。
「自分がどうあがいてもたどり着けない場所があると思ったなぁ
そういうのない?」
「……ありますけど……」
「天才ってのはいるよなあ」
#22
大きく頷きそうになる。けど、確かにそのとおりなんだけど、折れてしまう人もいる中で、こういう台詞に引きずられずに、ふんばるところが、この主人公の魅力だなと思うし、踏み止まるにはやっぱ「好き」が力になるんだっていう説得力につながっている。
6巻の最終話の彼女が感じてるみたいに、イチ乃だけじゃなくどの登場人物にも、見てて(読んでて)イライラする部分は少なからずある。でも、自分を成長させるのは、自分だけ、なんだよなぁということを分かっていても、いろいろ引きずられてぐだぐだになる登場人物を応援したくなるし、そういう、情けなかったり汚かったりずるかったりする部分も含めて、成長する、というのがこのお話で作者のこだわってるとこなんじゃないかと思います。
6巻の、湯田上くんの電話で泣きました。見ててくれて…ありがとう!!
- 作者: 石田敦子
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2007/04/28
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