スケルトン イン ザ クローゼット/岩本ナオ

岩本ナオさんの初単行本。とてもよかったです。

スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス)

スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス)

「Yesterday , Yes a day」が長編だったのに対し、この「スケルトン イン ザ クローゼット」は、表題作を含む連作と、短編を集めた一冊だからか、かなり印象が違った。
一作づつの、エピソードの積み重ねが、とても練られたものであることを感じるし、複数の登場人物をたくさんの時間と場所で動かしながら物語がこんがらがらない。読むのに時間かかるし、情報がたくさん詰まっているのに、解放されるタイミングがうまくて、どきっとする。
それから、先日「Yesterday , Yes a day」をよんで、キャラクターが印象にのこる、と書いたけれど、この本でもやはり登場人物たちの描かれ方が、背景まで感じさせるものになっている。
たとえば、「スケルトン〜」第二話で、雪の日に、キオスクのおばちゃんから傘をもらう場面がある。会話の途中の回想シーンとして描かれるのだけど、直接的なつながりはないのに、彼がそこでそれを思い出す、ということで、人物としての奥行きを感じることができる。つまり、物語の解説としてではなく、人物の背景として情景がいきていて、その描き方だけをとっても、私はこの漫画家さんを、特別に好きだと思う。